第045話 帰還
『どんなに高い壁も乗り越えられる』
永劫に続くかのように思われた土の坂は急に行き止まりになった。そこは5人が集まっても余裕がある広さを持ち、1番背の高いカルドだと頭を擦りそうな天井高の小部屋に近い空間だった。カルドとほぼ同等の身長を有する
「今日はここで終わり?」
登坂が終わった事を残念がるような雰囲気を醸し出して、座り込んでいる3人と静かに部屋の入り口付近に立っている
「もうこれ以上は無理。上り坂を見たくない」
ティスタが掠れた小声で独り言のように話した。体力のない女性の
その状態を見た
「大丈夫?」
泣きそうなくらいにとても心配した表情でティスタの顔を上から覗き込んだ。ティスタは
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「良かった〜!それなら一緒にご飯を食べられるね」
食事の事など思い浮かんでもいなかったティスタは
ティスタは上半身を起こし、
「心配させてゴメンね」
そう言うと思わず抱きしめる力が強くなった。
「魔法を完成させる」
そう言って振り返る事なく呪文の詠唱に入った。ティスタは彼の台詞を理解出来ていなかった。
「えっ⁉︎完成⁉︎」
思わず素直な言葉が口から出た。未完の魔法があるのか?
「母なる大地を司る精霊を束ねし偉大なる王よ、先に結びし我が盟約を見事に完遂せよ。
その魔法は朝方に絶壁の麓で大きな亀裂を入れたものと同じ名称だった。
呪文が完成した後に朝と同じ手振りを繰り返すと
「わぁぁっ、出口だっ!」
「この坂道はすぐに閉じる。疲れて座り込んでいる暇はない。早く立ち上がって登る事を強く推奨する。登れなかった者は大地に挟まれる」
と恐ろしい事をさらりと言って坂を登り出した。それを聞いた
「レヴィは冗談を言わないから、早く登らないと大変だよっ!みんな急いで立ち上がって!」
と言って、まずはティスタに手を差し伸べた。お互いの右手を握り合った。
「レヴィに続いて急がなきゃ」
と言って3人の顔を見渡してから、ティスタの手を引いたまま
頂上に着く頃に4人は
カルドの見立てでは辿り着いた地点は
気持ちが昂っている
「無事に着いて良かったね〜」
と言いながら満面の笑みを浮かべ、3人の希望が叶った事を一緒に喜んでいた。
そこに
「これからどうする?断崖踏破に感動していても戦況は分からないぞ」
「フォロティの街に向かおう!」
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