第007話 襲撃
『圧倒的な力に抗う術はない』
しかしその火事の発生は強い雨のために城壁上の衛兵から発見される事はなく、勢いの増した火勢は王国所有の船にまで燃え移り、港全体が炎上するまで発見が遅れ、衛兵が気付いた時には港は大火災となっていた。火災に気付いた衛兵の号令により多くの兵士が港側の西城門を開け港へ消火活動の為に駆けつけていった。
豪雨でも煌々と燃え上がる大火に向かって城門から駆けていく兵隊達は火災のあまりの大きさに動揺してしまい、原因やその背景について深慮出来ていなかった。実は
大火災の鎮火に多くの兵士が対応している間に、西城門以外の北・南・東のそれぞれの城門付近から火の手が上がりだしていた。西城門から港へ駆けつけていた兵士達は背後で発生しているこの事態に気付き、豪雨の中で目を凝らしてみると黒煙が城壁内から立ち上っているのが分かった。さらに3つの城門付近からは怒号や悲鳴を含んでいると思われる騒音が響き、異常な事態が発生している事は明らかだった。兵士達は急いで隊の編成を整えて西城門へ戻っていった。
都市の中央に位置する領主の城には四方の城門から次々に異常な事態の報告が入っていた。
「港で大火災が発生し、西門守備隊及び聖騎士予備隊が消火対応中!応援を要請します!」
「北門付近で火災が発生し、北門守備隊が消火活動を開始!支援が必要と思われます!」
「南門!火事が発生している模様!守備隊が消火中に負傷した模様!救護を!」
「東門近くの民家が正体不明の賊に襲撃を受け燃えております!守備隊応戦中ですが、劣勢の模様です!直ちに応援願います!」
領主の館に入ってくる四方の城門からの情報は全てが緊急事態を知らせるものばかりで、どこから手を付けて良いか分からないような状況だったが、
「西門は延焼を防ぐ最小限の兵力とせよ!兵力を他の3門へ均等に配分。
この指示は伝令者達によって滞りなく迅速に各所へ伝播していき、西門の軍団は3門へ分散し、軍の主力である
門の付近の家は木材や竹材によるものが多く、放たれた火が簡単に燃え広がっていた。立ち昇る黒煙が焦げた木材や竹材、生活用品や排泄物といった諸々の臭いの混ざり合った悪臭を周囲に撒き散らし、火炎地獄のような光景だった。急ぎ消火して延焼を防ぎたかったが、まずは侵入して来た敵を排除しなければならない状況だった。
そこには信じられない光景があり、思わず落馬してしまいそうなほどの衝撃を受けだ。
「まさかっ!?あれは…、ドッ、
そこには大きな翼を羽ばたかせた
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