第003話 少女
『驚異的な才能は必ず世界に眠っている』
巨躯を揺すりながら大きな足音を立て、一歩ずつ地震のような揺れを引き起こしつつ住処へ帰っていく凶悪な
「エドワード様っ!!」
大きな声を出しながら2名の仲間が一斉に左右から駆け付けた。
左から駆けてきたのは神官でありながら武闘家でもある
右から駆けてきたのは
「大丈夫だ…、支障はない…」
エドワードは弱った体力から絞り出せる声で左右の二人に諭すようにそう告げた。
カルドの肩を借りながらもう一度立ち上がり、レヴィスターに向き直って危機を救ってくれた謝辞を述べた。
「レヴィスター・ガイクス、助けてくれてありがとう」
「昔の
助けてくれた銀髪の剣士は銀色の瞳から氷のような視線を向け感情を排除した声でそう答えた。威圧感はないが圧倒的な迫力のある視線で、その迫力に押され意識を失わないようにするのがやっとだった。
「レヴィ、どうするの?」
女性の澄んだ高い声が辺りに響き渡った。それはレヴィスターの背後から聞こえてきたが、これまでその声の主の気配を全く感じる事ができなかったことに戦慄を覚えた。声の主はレヴィスターの背後から恥ずかしそうにしながら顔を出し、恐る恐るその全身をあらわにした。人間の少女のようで背丈は平均的な高さに見えた。ほぼ白に近い金髪は腰までまっすぐと伸び、夜空に輝く星のように輝いて見えた。顔は人間としては非常に小さく、肌は白大理石のように白く、大きく見開いた赤い瞳が強烈な印象を与えた。身体は細くやや痩せすぎな印象だった。薄めの赤いローブを纏い、黒を基調とした首長の上着には幾何学模様が赤と金の糸で刺繍されており、膝下の長さのスカートを穿いていた。脚には膝付近まで伸びる赤く染められた革のハイブーツを穿き、そのすねの部分に小さな黒い宝石が散りばめられおり、非常に高価な代物に思われた。武器は携えていないようだった。
「クウィム、彼らの傷を癒してくれるか?」
レヴィスターはその冷静な表情を変えずに少女にそう言って依頼した。
「うん、分かった」
クウィムと呼ばれた少女は足音を立てずに、
少女は3名に向けて正対し、右の手ひらを垂直に立てて大地と水平になるまで上げ、赤い瞳が印象的な大きな眼を静かに閉じた。そして精神を集中させながら若干あごを引き、呪文でも言語でもない何かを口ずさんでいるようだった。すると目に見えない何かが3名を包み込み、温かい空気を感じた瞬間に、3名とも全身の火傷が回復していた。それは神官のみが駆使できる
「こっ、これは、神々の恩恵の範囲を超えている…」
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