第002話 圧倒
『巨大な波も小さなさざ波から始まる』
「あなたはっ、レヴィスター・ガイクス!!」
思わず大声で叫んでいた。それは心の底からの叫びだった。
耳の鼓膜を破ってしまい兼ねない程の大声にも関わらず、名前を呼ばれたその男は一瞥もくれずに目の前の
本来であれば
彼は
「俺の庭を荒らすな!」
彼は強めの語気でそう言って剣を構えたまま一瞬だけ冷酷な印象の視線だけをこちらに向けて、すぐに前を向き直った。
「昔の
縄張りを荒らした人間を軽く排除しようとしていたところに現れた新たな人類は威圧的な空気を纏っていた。その威圧感は2度目の攻撃を躊躇させるのに十分はものだった。生態系の頂点に君臨する彼にとってそれは異常な反応だったが、生来持ち合わせている本能が防衛反応を見せていたのだった。こちらを睨みつけている眼光は冷気を帯びているかのように冷たく、それは人類が醸し出せる迫力ではないように思えた。
先程吹き飛ばした3人はもう認識する存在として視界から消えていた。そして氷のような視線の人類を排除すべき存在と認識し、次の
「俺から離れろっ!!」
レヴィスター・ガイクスは
後方に上手く着地できた時に
「レヴィ…、レヴィスターっっ!!!」
先程よりもさらに大きな声を挙げて爆発に巻き込まれた男の名を叫んでいた。それは死んでしまったように思われた彼の代わりに断末魔をあげたかのような叫びだった。全身を襲う震えと悪寒を伴う大量の発汗が絶望感をさらに後押しした。
彼の名を叫んだその刹那、強い風が黒い崖の上から吹いた。その強風はレヴィスターの周囲を取り囲んでいた水蒸気と土煙の壁を徐々に森へと運んでいき、彼の立っていた場所を少しずつに鮮明にしていった。そこには爆発に巻き込まれて横たわっているレヴィスターの黒焦げになった遺体があると思われたが、驚くことに彼は倒れてなどいなかった。
それどころか彼は爆発前と変わらず剣を構えたままの姿で平然と立っており、
その間にレヴィスターが意識を集中させていくと、それに応えるように左手の中の剣が呼応して銀色の輝きを増しているように見えた。剣は周囲の温度を下げ、その周辺は
睨み合いを続けていた
攻撃の色を失った眼前の
それを確認した
レヴィスター・ガイクスは
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