第3話:移動

結果としてそれはほうきの形からはほど遠い物になった


見た目はタイヤのない直線的な自転車のフレームにバイクの燃料タンクとシート、ハンドルとステップ、マフラーのような排出口がついた不思議な物体だった


魔導士「これならお尻をつかなくても膝と腿で体重を受けてバランスがとれますよ」

オーナー「へ~」

私「バイク的な発想だね」

魔導士「そうなんですか?」

私「たぶんね」


今回は準備はこれだけでいいそうで翌日の朝出発することになる

西の街までは朝出ても夕方の到着になるらしい。


一日馬車の中で天使について語り合うことになるとはこの時は考えてもいなかった。


オーナー「天使のイメージだと背丈くらいの翼がついてるでしょう?」

魔導士「はい、白鳥見たいな翼ですよね」

オーナー「でも鳥のサイズと人のサイズを考えるとバランスが合わないと思うの」

私「はぁ」

オーナー「たぶん、人の体重が50kgだとしてそれを浮かせる風力を発生させる翼を考えると片側の翼が2mでも足りないし、それを動かす筋肉を考えると気持ち悪いバランスになると思わない?」

格闘家「なるほど」

オーナー「にわとりで考えるとイメージできると思うけど、体と翼のバランスが合ってないから飛べない気がしない?」

魔導士「あ、そういうことか」

オーナー「もしも、絵に描いたような天使がいたとしたら飛ぶことに翼は関係ないんじゃないかなって」

私「そうなると魔法で浮いているだけってことですね」

オーナー「たぶん」


そのあとはどうでもいい世間話が延々と続いた


馬車の移動速度は思ったよりも遅くて街についてのは日が沈んだ頃だった


オーナー「ホテルにチェックインして、食事に行きましょう。あ、部屋はツインの2部屋しか取れなかったんだけど、どうする?」


みんなで顔を交互に見て首をかしげる


オーナー「じぁあ、格闘家さんと魔導士さんで、傭兵さんは私とでいいかしら?」


オーナーは気を使ったようだったが、みんな一緒に肩を並べて野宿しているので気にすることは何もなかったのだけれど


オーナー「荷物を置いたらでかけましょうか」


ホテルにもレストランとバーはあったけれど外に出かけたかったようだ情報収集も兼ねてといっていたが観光気分が勝っていたように見える。


4人ともお酒が好きだったようで(格闘家と魔導士とは何度か飲んでいたが)、調査とか情報収集はおろか護衛も忘れて気分よく飲んでいたと思う・・・まぁ護衛の方は格闘家と魔導士が酔った状態でも問題ないのは過去に経験があったので気にはしなかった。


ホテルに戻って朝の時間を確認した


山の山頂には9時に登り始めればお昼にはつけるそうで、日暮れまでに下山できるらしい


オーナー「じゃぁ、おやすみなさい」

格闘家「では、失礼します」

魔導士「おやすみなさい」


部屋に入って


オーナー「どうする?まだ飲む?」

私「・・・いいですよ」

オーナー「あの2人はすぐに寝るかな?」

私「あぁ・・・」

オーナー「?」

私「あの2人はたぶん・・・」

オーナー「・・・あ、そうなんだ、お楽しみか」

私「ははは」

オーナー「じゃぁ、私達も楽しんでみる?」

私「え?」


そして夜が更けていった。

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