こぽこぽ
清水優輝
第1話
塩素の匂い。私は水の中に潜っていき、鼻からこぽこぽと昇っていく気泡を見送る、その先の空は太陽の光を透過する。それは母親のお乳のように穏やかにプールの中を浸す。髪の毛が腰を揺らして踊っている。恍惚の一歩手前で夢を拒んでいる。深海に棲む魔物に誘惑されて体はゆっくりと落ちていく。足が底につく。誰かが落としたスイムキャップ。胸に引き寄せて物語を聞かせる。私の体が小さな、とても小さな、肉眼では確認できないほど小さかった頃の話。
こぽこぽ 清水優輝 @shimizu_yuuki7
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