第13話 そっと秘めているもの

 近隣の村で起きたちょっとした事件も片付き、僕たちは問題もなく城に戻ってきた。

 厩舎前の着陸スペースに降りるのだが、一斉には無理なので、先に二人が降りて、僕は一番最後に降りた。

「よし、お疲れ!!」

 僕はファルセットの首を撫で、ゆっくりその背から下りた。

「それじゃ、ドラゴン関連の事件は全てお前に提出することになってるから、俺が書いて持って行く。それでいいな?」

「ああ、もちろん。よろしく!!」

 僕は手を振って二人と別れ、自分の小屋へとファルセットの手綱を引いていった。

「さてと……」

 部屋に入ると、僕は机の椅子に座って報告書を書いた。

 しばらくすると、同行していた竜騎士二人が小屋にやってきた。

「今回の提出先は、こっちのはずだからな。ついでにサインも頼む。そっちも出来てれば、サインしちまうぜ」

「ありがとう。こっちも出来てるよ」

 僕は書いたばかりの報告書をテーブルに載せた。

 竜騎士として出動したとなると、必ず報告書の作成があるし、それには出動した全員のサインが必要になる。

 この辺りは大規模になると大変なので、適宜やったりやらなかったりだが、今回はそれほどの事ではないので当然ながら通常通りだ。

「それにしても、見事な斬りっぷりだったな。見習わなければ」

「そりゃ無理だろ。よし、休むぞ」

 仕事を終えた二人が小屋から出て行った。

「皮肉なもんだね。ドラゴンテイマーの腰に、ドラゴンスレイヤーって」

 マントは外してあるので、その綺麗な鞘をみる事が出来る。

 ドラゴンとの融和をよしとするドラゴンテイマーだが、その危険性を身をもって知っている身としては、この程度の準備は当然だと思っていた。

 ドラゴンスレヤーとは、文字通り分厚いうろこや肉に守られたドラゴンすら斬る事が出来るという、最強クラスの剣だった。

「さて、僕も寝ようかな。しばらくしたら、またドラゴンたちのお世話と!!」

 僕はベッドに転がると、そっと目を閉じた。

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