第12話 事件解決

 どうにも怪しい人がいる。

 同行の二人は別行動中なので、僕は剣を抜いて村にあるその人の屋敷に向かった。

「あれか、予想より大きいな。ある意味。魔法使いの屋敷っぽいけどね」

 温かい日差しが刺す中、僕はその大きな屋敷に接近していった。

 門の扉に近づき、そっと手をかけた瞬間、頭にぞわっとくる感触と共に、反射的に剣を構えた。

 呪文と共に剣を振ると、飛んできた火球真っ二つになって消滅した。

「……これで、ほとんど有罪だけど、話すだけ話そうか」

 僕は剣を抜いたまま、門扉を押し開けた。

「おっと!!」

 庭に一歩入った瞬間、カチッと音がして地面が消えるようになくなった。

「びっくりした……。落とし穴とは、また。原始的だけど、バカにできないんだよね。ここまで相手がやってきたら、僕もちょっと手を抜けないな。よし、まずは庭を掃除しよう。いつも通りだね」

 ……もちろん、違う。

「さて、始めよう」

 剣を構え直し、僕は庭をひたすら走り回った。


「よし、こんなもんかな」

 綺麗に整っていた庭はめちゃくちゃになり、あちこちで燃える火のおかげで気温まで上がり、僕は額の汗を拭ってから、目を丸くして立っていたお爺さんを振り向いた。

「なかなか派手な呼び鈴だね。でも、ここまでやっちゃうと、屋敷に近づく誰か全員に対して害意があるとしか思えないよ。僕たちがこの村に着いてからじゃ、とても間に合わないからね。まあ、それはいいや……」

 僕は固まっているお爺さんに一瞬だけ剣の切っ先を突きつけ、小さい笑みを浮かべて剣を鞘に収めた。

「あらゆるドラゴンをランダムに召喚して、それを好事家に密売するか。売る方だけど買う方も買う方だよね。幸い、今回はお爺さんが失敗してここに召喚しちゃって発覚したけど、もしどこかで暴れたらどうするつもりだったの。ドラゴンテイマーって数が少ないから、暴れたら大変だぞ」

 僕は小さく笑うと、お爺さんの肩を叩いた。

 バラバラになって崩れたその体を見下ろし、僕は小さく笑みを浮かべた。

「酷いって思わないでね。生きてたら、獲物を待ち受けてる城の拷問吏に散々やられた上にこうなったから。危険だから、軽い刑じゃ済まないんだ」

 僕はメチャメチャになった屋敷を後にして、村の広場へと向かった。

 こうして、小さな村の大事件は解決したのだった。

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