第7話 少年の夕食
手を洗った俺は、ハルの待つキッチンへと向かった。
いつもの席に座った俺の前には、長方形のテーブルに黒ぐろとした光沢のある丼ぶりが2つあった。フタを開けると、中には卵が雲海のようにふわりと仕上げられた親子丼があった。
「おぉ、今日は親子丼か!おいしそうだな」
「えへへ! そうでしょ?」
俺は七味を少しかけると、すぐさま口に運んだ。
「うまい……!」
思わず声が出てしまうほど、おいしかった。
俺の箸は止まることなく、次々と親子丼を口に運んだ。
「「ご馳走さまでした」」
あっというまに親子丼を食べ終えた俺は、自分とハルの丼ぶりを持ち流しへ運んだ。
我が家では、家に帰るのが早いハルが料理を作り、俺が皿を洗うことにしている。本当はハルが自分で洗うよと言っていたのだが、それでは俺の立場がなかったのでさせてもらっている。
俺は皿を洗いながら、緑茶を飲み落ち着いているハルに喋りかけた。
「ハル、今日テストだったんだろ どうだった
んだ?」
昨日、俺にハルが言っていたのを思い出した俺は聞いてみた。
「一問だけ間違て、98点だったよ〜」
すると、ハルは当たり前のように答えた。俺と違い妹は努力家だ。決して″天才″ではなかった。日々の努力の甲斐あって、一年生の頃は真ん中ぐらいだった順位を今では、常に上位5位をキープしている。勉強面に関しては、兄の威厳などあってないものだ。
皿を洗い終わった俺は、風呂に入り自室に戻った。俺とハルの部屋は二階にあり、もう一つある空き部屋は物置きとかしている。
倒れ込むようにベットに飛びこんだ。アラームをセットした俺は、すぐさま睡魔に襲われ目を閉じた。
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