第十話: 眠り姫の帰還




 地下11階から地下15階は、極寒の世界。

 地下16階から地下20階は、灼熱の世界。

 地下21階から地下25階は、自然の世界。

 地下26階から地下30階は、暗黒の世界。



 そして訪れた地下31階から下……そこは書物曰く『息苦しい場所』とされている、非常に空気の薄い……言うなれば、天空のような状態が保たれた世界であった。



 光は、ある。


 ウィッチ・ローザがこれでもかとそこら中に繁茂しており、むしろ眩し過ぎて時折目を細めたくなるぐらいに明るい。


 空気も澄んでいる。クリア・フラワーによって清潔に保たれた空気は常に新しく、吸えば吸うだけ胸の奥が洗われる気さえしてくる。


 温度は多少低いが、景色は地下1~5階のような土気色一色。多少空気が乾燥しているような気はするものの、十二分に許容範囲内。


 これまでの道中を思えば、過ごし易いなんてものではなく、天国とすら思える程だった。


 その中で、ただ一つ。注意すべき点をあげるとすれば、酸素を放出するオキシゲン・ピアニー(命の吐息)だけが、ここにはないということ。


 完全に無いというわけではないが、これまでと比べて明らかに数が少ない。その少なさは、はっきりいってこれまで以上に探究者を殺しに来ているレベルであった。


 酸素が少なく息苦しさを覚える場所というのは、上階にも稀に出現することはある。


 しかし、それは本当に稀で、エア・ボトル(携帯用酸素ボンベのこと、高いが普通に店で購入できる)が探究者の常備項目に入っていない辺り、運が悪かったという程度の確率である。


 加えて、上階に出現するそういう場所は、いつもより息苦しいと感じる程度のものでしかなく、無理さえしなければ早々命は落とさない。


 とてもではないがこの階のような凶悪さはなく……それだけで、この階の過酷さが想像できるだろう。


 常人なら、ただそこにいるだけでも息苦しさを覚え、息が乱れ始める程度。地上と同じ感覚で動けばあっという間にチアノーゼを引き起こし、早急に酸素を補給しなければそのまま死に至る。


 酸素を取り入れて生きる生物にとっては過酷としか言いようがない世界がここには広がっていた……のだが。



「サララ、息苦しさは感じていないか?」



 世界を悠然と歩く、緑髪の美少女……としか言いようがない美少年のマリー。


 その足取りはまるで近所の菓子店に向かう子供のように軽やかで、この過酷な環境を気にも留めていないのか、平然とした様子で背後のサララを気遣っていた。



「息苦しくなったら、すぐに言えよ。オキシゲン・ピアニーぐらいなら、いくらでも用意できるからな」



 その言葉通り、マリーが軽く手を振るだけで何もない地面から植物が生い茂り、幾重ものオキシゲン・ピアニーが花を咲かせる。それは、まぎれもなくダンジョン固有の植物であった。


 ダンジョンの内壁を操作し、温水を噴き出させて風呂を作る。


 そんな信じがたい芸当をやってのけた後だから、けっこう地味に見えるが……考えてみれば、これだけでも飛び上がって驚く芸当である……が、今それに思い至る者はいない。



「うん、大丈夫。これがあるから」



 そう言うと、サララは口元に一輪のオキシゲン・ピアニーを押し当てたまま、マリーに笑みを向けた。


 オキシゲン・ピアニーは、花の中央から酸素を放出する。より効率よく酸素を取り込むための方法が、サララがいましていることである。



 ……本来なら、この階層もこれまでの階層と同様に相応の準備をしていなければ、突破は不可能である。



 最低でも最大容量のエア・ボトルを3本、かつ、道中のオキシゲン・ピアニーを出来うる限り集めて用いて出なければ、まず確実な死が待ち受けている。


 そんな、極悪としか言いようがない世界……の、はずなのだが。



「いいかげん身体も慣れてきた」



 気楽な様子でサララはそう答えた……もし、その言葉を他の探究者が聞けば……一人の例外もなく己が耳を疑っただろう。


 それほどに、サララの発言は驚愕に値するものなのであった。


 身体が慣れるとか、ここはそういう甘いレベルの場所ではない。


 どれだけ吸っても息苦しさは消えず、オキシゲン・ピアニーを最低でも5本……それを鼻先に押し当てるようにして、ようやく息をつくことが許される。


 それが普通であり、そうしなければならないのがココなのである。これまで以上に、人間が活動出来る場所ではないのだ。


 そんな環境の中で、二十歳にも満たない少女が笑いながら『もう慣れた』と口にする……しかも、二人はこの階に降り立ってからまだ一時間程度。


 何時、酸欠で昏倒して動けなくなっても不思議ではないはずなのに……と。



「けっこう前から思っていたが――」



 当然な疑問を改めて尋ねたのは、やはりこの場に唯一いるマリーであった。



「お前って本当に頑丈な身体しているよな。普通なら、それだけだと動けなくなっても不思議じゃないはずなんだぜ」

「え、そうなの? これぐらいのことで?」



 冗談でしょ、と言いたげな調子でサララが花から顔をあげる。


 心底驚いたように目を瞬かせるその姿に、「これぐらいって、お前なあ……」マリーは堪らず笑みを零した。



「常人なら、とっくに命を落としているところだぜ」



 口元に手を当てて目は笑う。


 そんな小馬鹿にした言い方に、サララの頬がぷくっと膨れる。ひゅるん、と『グングニル』の柄でマリーの頭を「いてっ」小突いた。



 ……現在、マリーとサララは地下33階に降り立ってすぐの地点だ。地下33階に降り立って早々仲間割れ……ではない。



 これもまた、コミュニケーションであり、じゃれ合いである。その証拠にサララの顔には怒りはなく、笑みが浮かんでいる。


 それはつまり、サララの心にこれまでになかった余裕というやつがあるからであった。


 そして、その余裕を生み出しているのは他でもない。


 緑色の髪を靡かせながらサララ以上に余裕な顔で先を行くマリーの存在であり、マリーが新たに得た(思い出した)力のおかげであった。


 その、新たに得た力の正体とは――。



「おっと」



 ――不意に、二人は足を止める。二人の視線の先には、通路の向こうに見える広場から顔を覗かせている3体のモンスターがいた。



 その名は『バルバジロ・オー』。


 体長2m前後の人型で眼孔に眼球はなく、代わりに赤い光が灯っている。イソギンチャクのような鋭い口を使い、獲物の腹に食いついて臓物を啜る。


 この階層にのみ出現し、体内に分割された『心臓部』と『脳』を持つ、特有のモンスターである。


 特徴的なのは、遠目からでも分かる四本の腕だ。


 発達した後ろの剛腕と胸の辺りに生えた器用な前腕を上手く使う。後ろの剛腕の力は驚異的で、人の身体を紙のように引き千切る。


 前腕は武器(どこから調達したかは不明)や防具を持っていることが多く、十数メートルの距離を瞬時に詰める優れた瞬発力を持つ。


 凶暴性はこれまで応対してきたどのモンスターよりもしつこく、時には同じモンスターすらも獲物と定める程に見境がない。


 また、分割されて可動する脳と心臓のおかげで首を落としても活動を続け、身体中の至る所にある探知器官が獲物の位置を追いかける凶悪極まりない怪物である。



 ――ふしゅるるるる……。



 爛々と輝く幾つもの赤い光が、マリーとサララを捉えた。そのおぞましい光に思わず身構えるサララに「――大丈夫だ」マリーは手を振ると、平気な顔で『バルバジロ・オー』の前へと歩み出た。


 対面する、緑髪と怪物たち。はた目から見れば、これ程心臓に悪い異様な光景は無いだろう。


 既に似たような光景を何度か見たサララですら、武器に手を掛けそうになるぐらいだ。初めてなら、反射的に攻撃しているところだろう。


 ぬるりと、赤い眼光がマリーに集中する。動く者全てを獲物と定める程に凶暴な『バルバジロ・オー』たちの剛腕が、マリーたちを磨り潰そうと一斉に伸ばされる。


 当然な流れであり、誰しもが予想したであろう惨劇が――。



「お勤め、ご苦労」



 ――繰り広げられるはずのこの場に、場違いなマリーの声がふわりと溶けた。


 常人……いや、人間なら誰しもが思考を停止して絶望に泣くことすら出来ない状況の中で、マリーは続けて……ぽん、と『バルバジロ・オー』の頭を叩いたのだ!



「とりあえず、邪魔だから退いてくれ。あと、俺の後ろにいるやつは俺の大切な女だから、何もするなよ」



 あまつさえ、なんとマリーは鬱陶しげに手を振った。まるで纏わりつく子犬を振り払うかのようなぞんざいで無造作な対応。


 仮に、それを他の誰かが見ていたら……もう、現実を受け入れることすら拒否していただろう。


 その、シミ一つないたおやかな腕が根元から引き千切られる。そして、絶命の悲鳴を上げる前に押し倒されて、内臓を根こそぎ啜り取られる。


 そんな、誰しもが予想し、誰しもが絶対だと思っていた現実が……しかし、訪れなかった。



 ――ふしゅるるるる



 信じられないことに、『バルバジロ・オー』たちはマリーに対して何もしなかったのだ。しかも、信じられない光景はそこで終わらなかった。



 ――ふしゅるるるる



 生臭いため息と共に、なんと『バルバジロ・オー』たちは一体の例外もなく動き出し……マリーの命令に従ったのである。


 その姿はまるで親の言い付けを守る子供のよう。


 マリーの命令に逆らう素振りも見せず、のそのそと通路に沿うようにして整列すると……後には障害物一つ見当たらない進路が用意されていた。



「行くぞ、サララ」

「……ああ、うん」



 悠然と先を行くマリーの背中に、慌ててサララは追いつく。


 その手には『グングニル』が固く握り締められ、今にでも銀の閃光が舞い踊りそうな程に高ぶったサララの視線が整列する『バルバジロ・オー』へと向けられる。


 それは、整列する彼らから遠く離れ、階段を下りて地下34階に到達してなお……サララは警戒心を解こうとはしなかった。



「……やっぱり、気になるか?」



 背後から伝わって来るサララの緊張を宥める。「気にならないわけがないよ。だって、ここにはアレに似たようなやつがうじゃうじゃいるんだもの」けれども、全く気を緩める様子を見せないサララに……まあ、無理も無いかとマリーは苦笑した。



 ……サララが警戒を解かないのも、無理は無かった。



 何せ、『バルバジロ・オー』は、極めて凶悪なモンスターである。人型ながらも体表の固さは尋常ではなく、並の力ではかすり傷がやっと。


 強靭な肉体から繰り出される攻撃は人の防御など容易く押し潰し、もし街中に姿を見せれば百や二百では済まない死傷者を出す。 


 ……そういうモンスターが、ここにはいる。『バルバジロ・オー』以外にも何種類かいて、本来なら何時姿を見せても不思議ではないのだが。



「ねえ、本当に襲ってこないんだよね?」



 再々々々々度ぐらいになる、確認。


 いいかげんしつこいと怒られそうだが、「だから、大丈夫だってば」マリーは嫌な顔一つせずにサララに笑みを向けた。



「あいつらは全て俺の制御下に置かれているからな。これまで何度も話したが、俺が今の状態になっている時はモンスターの襲撃は心配しなくていいって。それとも、俺の言葉は信用できないかい?」



 そう言って気楽に笑うマリーを見て、サララは疲れたようにため息を吐く……そう、これが余裕の理由であり、過去を思いだしたことで得た力であった。



「そう簡単に、はいそうですか、と肩の力は抜けないよ。もう習性みたいなものだし……それに、マリーは私に何も言ってくれないんだもの」

「ん?」



 首を傾げるマリーを前に、サララは思わず湿った台所の隅のような目を向ける。



「髪の色が変わるのもそうだし、さっきみたいにモンスターが襲ってこなくなったのもそうだし、なによりも……過去のこと、全然話してくれないよね?」

「……ああ、うん、それは、な」



 サララの不満げな眼差しに、マリーはバツが悪そうに視線を逸らした。


 サララの言い分は最もであった。なにせ、マリーはサララに対して『モンスターとかを操ることと、色々なことが出来ることを思い出した』と言っただけで、説明らしき説明は何一つしていないのである。


 そう、地下31階に降り立ってからサララはまだ、『思い出した中身』について何一つ具体的に教えられていない。


 デリケートな話であるのは分かり切っているので直接聞き出すようなことはせず、今までそれとなく促してはきた。


 しかし、さすがに地下32階、33階、そして地下34階まで降りて来たのにまだこうして黙秘を続けられれば……寂しくなる。



 それが、サララの正直な気持ちであった。



 マリーのことを疑うつもりはないし、おそらく語らない理由もだいたい想像はつく。


 だが、全面的な信頼を置いているサララであっても、『出来るようになった』の一言でその他諸々をも納得しろでは、さすがに不満も覚えた。



「結局、マリーは何を思い出したの? 何をあなたはしようとしているの? 私に話せないことならそう言ってほしい……でも、隠されるのは嫌だよ」



 話せない、話したくないのなら、無理に尋ねようとはしない。


 けれども、サララが感じる限りでは、マリーからそんな素振りは見当たらない……だったら、というのがサララの言い分であった。



「……別に、隠しているつもりはねえよ」



 それに対して、マリーの答えはソレであった。「……?」その言い方に些か違和感を覚えたサララであったが、確証はない。



「それに、思い出したことだって、多いようでいてそう多くはないしさ……時期が来れば話すつもりだよ」



 加えて、いずれは話すと言われれば……その違和感も、すっかり頭の中から消えてしまった。



「時期って、何時になるの? 今? もうすぐ? この後?」

「そりゃあ、まあ……そのうちな」


 ――少しでもいいから教えて。



 そう顔に書いてあるサララに迫られたマリーは、本当に困ったように頬を掻いた。



「俺としても教えてやりたいのは山々だが、それを理解出来るだけの知識がお前にはないからな。噛み砕いて説明しようにも、どう噛み砕けばいいかも分からねえんだ。こっちだって意地悪でそうしているわけじゃないんだぜ」

「……でも、ちょっとぐらい教えてくれてもいいじゃないの」



 途端、また落ち込んで肩を落とすサララを「いやいや、そういう問題じゃなくてさ」マリーは慌てて宥める。



「例えば、俺の力だって説明するのは難しいんだよ」



 困り切った顔で頭を掻いた。



「本当に、意地悪じゃねえんだよ。さっきも言ったが、俺の頭じゃあ上手い例えも出せねえから話さないってだけなんだ。隠しているわけじゃねえよ」

「だったら、それをそのまま教えてくれたら――」

「『魔力という名の通貨を用いて、この次元を構成する歯車であり、原理であり、始まりから終焉までがプログラムされたアカシック・レコードにダイレクト・アクセスを行い、魔法術という形でアカシック・レコードの一部に介入、及び、一部を書き換えることで、この次元における自然的プログラムを操作する。その結果、この次元にて定められた森羅万象を変動させることで特定の事象を発生させる』……お前、これを理解出来るか?」



 サララの言葉を遮って、説明が難しいという一部をマリーはそのまま説明する。


 ……無理だろ。


 そう言いたげなマリーの視線を前に……サララは自信ありげに頷いた。



「つまり、凄い魔法術ってことだよね?」

「いや、違うぞ。お前、もしかしなくても魔法術って言えば正解だと思ってないか?」



 ――一瞬、サララの動きが止まった。



「……そのあか、あか……『あかしっく・れこーど』というやつを操るのが、マリーが得た力の正体ってことでしょ?」

「お前、当てずっぽうに言っているだけだろ」

「そ、そんなわけ……」

「あくまで書き換えて、削除して、加えるだけだ。俺の力はその原理の末端をほんの少し組み替えているだけに過ぎず、俺とあいつの違いなんて、言ってしまえば書き換える範囲が大きいか小さいかの程度でしかない」

「俺が魔法術って言ったのは、お前が理解しやすくする為に例に出しただけだ。お前の考えている魔法術は、あくまで『アカシック・レコード』に書き込むコードのテンプレートでしかなく、言うなればサンプルコードなのさ」

「重要なのは『アカシック・レコード』に書き込めるコード。つまり、魔法術を構成する『魔術文字』だ。『アカシック・レコード』に書き込めるコードは同じコードのみ。そのコードこそ、いわゆる『魔術文字』であり、それを文法化したのが『魔術文字式』で……って、おい、遠い目で意識を飛ばすな」



 呆けたままどこかへ意識を向けているサララの頭を、軽く叩く。


 内容どころか今しがたの台詞すらまともに聞き取れていないであろうサララの様子に、マリーは苦笑した。


 案の定と言うか、さもありなん、と言うか。


 少し遅れて、ハッと我に返ったサララが困ったように視線をさ迷わせているのを見て、マリーは笑みを寸でのところで堪えた。



「つ、つまり、凄い魔法術ってことだよね?」



 けれども、絞り出すように答えたその一言に、我慢は一瞬で崩壊した。やはりそうなったかと、マリーはサララの頭を撫でる。


 とりあえず、サララが理解したのは……今は説明が難しい、それだけであった。


 申し訳なさそうにするサララにマリーはさて、と話を切り上げればサララもそれにならう。二人の視線の先には……地下35階へと続く階段が姿を見せていた。


 ……いちおうは用心を怠らずに階段を降りる。地下35階でも変わらない景色が続いているが……それも、時間の問題だろう。


 この分だと、この階層を突破するまであと一時間も掛からないかもしれない。本来なら決死の覚悟で挑まなければならない階層なのに……。



「――あ、そうそう」



 通路を抜けて最初の広場に入った辺りで、不意にマリーが声をあげた。



「先に言っておくが、道中が楽になるのはこの階までだからな」

「そうなの?」

「ここから下に、俺の力を阻害している何かを感じる。多分、あいつの仕業だろう……モンスター共の気配もうようよ感じるぜ」



 そう言うと、マリーはさっさと先へ向かう。その背中を追いかけるサララの手から、オキシゲン・ピアニーが落ちる。


 一瞬ばかりサララの視線がそれを追いかけたが、サララは立ち止まることもなく……マリーの後に続いた。







 ……。


 ……。


 …………想定していた通りに一時間以内に地下36階へと降り立った二人。


 楽になるのはこれまで、と聞いていたサララは、ほとんど反射的に周囲の気配を探り、索敵範囲を広げた……が。



「……え」



 階段を降りて、すぐ。


 最初の広場に入ったと同時にそれを目にした瞬間、サララは思わず足を止めた。一拍遅れて、マリーも足を止めた。


 二人が足を止めた理由は、モンスターによる襲撃でもなく、非常事態に遭遇してしまったからでもない。




 ――広場の片面全てに広がる『巨大な金属の壁』を前に、言葉を失くしたからであった。




 それは、遠目からでも分かる重厚感。明らかに塗料で塗られたものだと分かる模様やら記号。錆びと見られる赤黒い模様が至る所に広がっており、長い年月を想像させた。


 これまで見てきたどの階層とも違う……それが、無知であるサララですらはっきりと感じ取れてしまう。小さくも脆いサララを嘲笑うかのような存在感を放つソレを前に、サララは立ち尽くすほかなかった。



 ――瞬間、ふるりと、サララは己が震えたことを知覚した。



 反射的に、鳥肌が浮き出ている腕を摩ったサララは、あれ、と首を傾げた。震えているのは肩だけではなく、指先もであった。


 何事かと考えるよりも前に震えが再び起こり、3度、4度、と繰り返すうちに周期が短くなる。


 寒気にも似た感覚はいつしか『グングニル』を固く握り締める程に強くなり、これまで落ち着いていた鼓動が早まり始め……直後、サララは震えの正体を理解した。



 ――怖いのだ。



 そう、金属の壁でしかないはずのソレが、たまらなく怖い。これまで見てきたどんな敵よりもおぞましく、どんな怪物よりも恐ろしく、どんな場所よりも寒々しい。


 震えてしまう身体を抑えながら、サララは『金属の壁』を睨みつける。


 サララの視線の先にあったのは、壁に塗られた巨大な模様。サララには知る由も無いことだが、その模様は文字である。そして、その文字は……『フロンティア』を指し示すロゴであった。


 サララには、書かれている模様が文字であることはもちろん、そこがどういう場所なのかも知らないし、分からない。


 想像することだってサララには難しく、初見の感想は『巨大な鉄の壁』でしかない。



(……気持ち悪い。嫌だ、あそこは……嫌だ!)



 だが、しかし。


 サララは怯えてしまう己を律することが出来なかった。サララは無意識の内に嗅ぎ取り、無意識の内に肌を感じ取り、無意識の内に理解していた。


 理解、させられてしまったのだ。


 あの壁の向こうは、狂気が滞っているのだということを。


 これまで見てきたどんなものよりも仄暗く、どんなものよりも歪んだ狂気の残り香。巨大な鉄の壁ですら隠しきれず、留めきれないソレが、この広場に漏れてきて――。



「……なるほど、あのクソッタレすらも取り込んでいたのか。どうやってかは知らんが、俺の力を跳ね除けていやがる」

「――えっ」

「モンスター共の気配は感じ取れる。だが、ここじゃない。あいつの気配だが、あいつではない気配も感じる……さて、どうするべきか……」



 その声に、今にも後ずさろうとしていたサララの視界が鮮明になった。



「……それじゃあ、どうする、サララ」



 恐る恐る顔をあげたサララが見たものは……包み込むようなマリーの微笑みであった。



「ここが正真正銘、最後の分岐点だ。ここから先に行けば、もう引き返せない。結末まで突き進むのみ……それでも行くか?」

「……どういう、こと?」



 がらがらに乾いた喉を震わせて、サララが尋ねる。「そのまんまの意味だ」それを前に、マリーは壁を見やった。ほのかな光を放つ緑色の髪が、ふわりと揺れた。



「俺の力がはっきりと及ぶのが、ここまでなのさ。どうやっているのかは知らんが、あの中はどうもこの力が上手く発動出来ないようになっているみたいでな。加えて、俺もあの中のことはほとんど知らん……いや、あの中も、の方が正しいかな」



 そう付け足したマリーは、広場内を見回してため息を吐いた。



「とはいえ、他に通路は見当たらない。あいつの居る場所に行くには、ここを通ってさらに下へ向かう他ないようだ」



 そこまで言った辺りで、ふと……マリーは言葉を止めた。



「……今ならまだ、俺の力で地上に――っ!?」



 マリーの口上は、止まった。気づけば、サララは腕を振りかぶっていた。


 パン、と響いた乾いた音。呆然と、赤くなった頬を抑えるマリーの手を……サララは、震える手で握り締めた。



「最後まで、あなたの傍にいる。そう、言ったはずだよ」

「……手、震えているぞ」

「そりゃあそうだよ、だって怖いもの」

「そんなに怖いのなら、引き返したらいいんじゃないか?」

「あなたと離れる方が、もっと辛い。私は、その辛さを耐えて生きられるほどに強くはない」

「……そうか」



 苦笑するマリーの手を、サララはさらに強く握り締める。普通なら痛みすら覚える程の力だったが……マリーは黙ってそれを受け入れると、サララと共に壁へと……壁の向こうへと続いているであろう『入口』へと歩き始めた。



「サララ」

「なに?」

「悪かった」

「次は拳だから」

「歯の一本や二本は折れそうだな」



 そう零すマリーに、「それが嫌なら、ふざけたことは言わないように!」サララは笑みを浮かべる。


 少々引き攣ってはいたものの調子が出てきたサララに……マリーも笑みを浮かべると、壁へと近づく。



 ……改めて近くで見る壁は例えようもなく重厚で、巨大であった。



 ぷん、と漂う錆び付いた鉄の臭いが逆に現実感を失くしているようにすら思えてくる。その中で、唯一と言っていい『入口』の前に二人はたどり着いた。


 10メートル四方はありそうな巨大な『入口』の向こうは真っ暗で、ウィッチ・ローザが全く見当たらない。



 それを見たマリーの手から光の弾がふわりと浮かぶ。



 その光が照らし出したのは、地獄の底まで続いていそうな程に長い通路から続いている緩やかな斜面であった……と。


 不意に、フッ、と光が斜面を照らした。マリーが生み出した光ではない。


 斜面を照らし出した光の正体は、通路の壁に取り付けられた照明であった。光で満たされる……と言う程には明るくないが、等間隔で照らしているおかげで、気を付けて進むには十分過ぎる程度には明るくなった。


 ……無言のままにマリーは光を消す。


 横目でサララを見やれば、サララからは力強い頷きが返される。それを見てマリーは一つ息を吐くと、スーッ、と、静かにマリーの髪が白銀色へと戻った。



「……ここから先は、あの姿でいても出来ることなんてそう多くはない。こっちの方が慣れているから、いざってときはコレの方がいい」



 視線で疑問を察したマリーはそう答える。


 次いで、納得するサララの手を引いて……足を滑らさないよう気を付けながら、ゆっくりと斜面を下り始めた。






 ……。


 ……。


 …………本当に、地獄へと続いているのかもしれない。



 そう錯覚してしまいそうになるほどに下り続けている二人の足は、半日を経過してもまだ止まらない。休憩を挟んだ後、また斜面を下って行く……どこまでも、どこまでも、坂道は続いていた。


 景色は、どこまで行っても変わらない。


 等間隔に取り付けられた照明はどこまで行っても同じ調子で、見ているだけで気がおかしくなりそうになる。1人であったなら、かなりの恐怖に苛まれていただろう。


 振り返れば、既に『入口』からの光は確認出来なくなっている。自分たちがどれ程長く地下まで下りて来たのかが嫌でも思い知らされた。



 ――いったい、どこまで続いているのだろうか。もしかして、このまま永遠に下り続けるのだろうか。



 一向に変化のない光景に、予てより感じていた不安がさすがに強まり始める。けれども『出口』は、思いのほかあっさりと、それでいて唐突にマリーたちの前に姿を見せた。



「ぐるっと、道が曲がっていたのか」

「……かも、しれないね」



 『出口』らしき通路の向こうが二人の目に留まったのは、『出口』から200メートル程離れた辺り。つまり、200メートル程、先だ。


 壁の向こうからニュウっと姿を見せたそれを見て初めて、二人はまっすぐだと思っていた通路が弓なりに曲がっていたことに気づいた。


 ……何とも、いやらしい造りだとサララは内心吐き捨てる。


 通路内が薄暗いのもそうだが、ほとんど変化がない景色がそう錯覚させるのだろう。


 振り返って見れば……なるほど確かに曲がっている。


 不覚にもそれに気づかずに怯えてしまった自分に、サララは恥じ入って唇を噛み締めた。


 けれども、何時までも落ち込んでいるわけにもいかない。「……ほれ、行くぞ」先を行くマリーの後に続いて『出口』へと向かう。終わりが見える分これまでよりもずっと楽だった。


 少しばかり足早になった二人は、扉の前にある柵を乗り越える。



「なんの意味があるのかしら、これ?」



 広さは10メートル程度だろうか、囲うように設置されている柵を見やって、不思議そうにサララは首を傾げた。



「何の意味って、何が?」



 振り返ったマリーに、サララはもう一度策を見回し……何でもない、と首を横に振った。


 些細な疑問で、こんな時に考えてもしょうがないことだ。


 それに、そんな小さなことは『出口』の向こうに見えた異質な光景を前に、塵のように飛び散って消えてしまった。



「……なに、これ?」



 震えるため息と共に、ありきたりな感想がサララの口から零れる。『出口』の向こうには、サララの想像を超えた世界が広がっていた。


 ダンジョンの中に、こんなモノが……一般的な常識を持つサララからすれば、そこは鋼鉄とパイプとよく分からない野太いヒモやら何やらで構成された異様な部屋……としか言いようがない光景であった。


 銀色の四方の壁は信じられない程に滑らかで、床は砂埃やらで汚れている分を差し引いても綺麗だ。


 視線を上げれば、天井を這い回る幾つものよく分からない何かが所狭しに絡み合っているのが見える。



 ……その用途を想像することすら、サララには困難であった。



 加えて、何よりもサララの目を引いたのは、その部屋の中央にある存在。


 ひと際高い位置に設置された巨大な柱を中心にして、猪のように大きな黒い球体が、埃被った状態でいくつも鎮座している。


 そして、その球体の中心……柱の傍には黒い球体たちとは違う、これまた巨大な金属の塊が横たわっていた。


 遠目から確認出来る限りでは、その塊はどうやら床と繋がっているように見える。


 サララの腰よりも太い野太いヒモと繋がったその塊は、まるで柱に寄り添うようにして砂埃を被っていた。黒い球体と同じく、長い時の流れを感じさせた。



 ……まるで、中央の柱を守っているかのような光景だと、サララは思った。



 何の意図があるのか、何の為にそうしたのか……サララには皆目見当がつかなかった。けれども、何かしらの意志が……言葉には出来ない何かがその光景からは感じ取れた。


 あの柱にはいったい何が……ふらふらと歩み寄ろうとしたサララ。


 だが、「――下手に近づくな」いつの間にかマリーに行く手を遮られて、ハッと我に返ったサララの目がマリーを見つめた。



「アレには近づくな」



 アレ、と顎で示したのは、黒い球体であった。



「機能停止してから長いようだが、何かの拍子に動き出すかも分からん。大人しくさせておくに越したことはねえ」

「そ、そうなんだ……ん?」



 素直に球体から距離を取ったサララは、そこでふと、首を傾げた。


 パチパチと目を瞬かせながら黒い球体を眺めてから……マリーを見やった。



「あの黒いの、動くの?」

「前に俺が会った時には動いていた。今は知らん……下手に相手をするなよ。そいつらを分かり易く例えるなら、『鋼鉄の身体を持つ全自動気銃乱射装置』だ。弾丸を雨のように撃ち込んでくるぞ」

「なにそれ怖い」



 慌ててサララは少し後ずさる。


 いくら常人離れした身体能力を誇るサララとはいえ、気銃の弾丸を雨のように浴びせられたら堪らない。数発程度なら軌道を読んで弾くことも出来るのだが……と。



「……おかしい、やはり腑に落ちねえ。ここに入ってからあいつらの気配を感じない……いったい、何が目的……っ!?」



 眼前の光景を見つめていたマリーがポツリと呟いた……瞬間、マリーの目が大きく見開かれた。



「どうしたの?」



 突然の反応に驚くサララを他所に、「もしかすると……!」マリーは慌ただしくビッグ・ポケットから例の本を取り出すと、それを無造作に開き……「ここだ」地下36階の項に指を当てた。



「……思った通りだ。『鬼人』も『聖女』も、こんな場所には来ていない」

「え?」

「ほら、ここを見ろ。地下36階への階段を下りた後は、それまでと同じくダンジョンのことが綴られている。こんなクソッタレな場所のことなんて一文字も書いていねえぞ」



 促されるがまま、サララも文字を追う……なるほど確かに、サララは頷く。


 マリーの言うとおり、そこには『一面が水で満たされた光景』が記されており、戦ったモンスターのことが細やかに記載されている。その文脈のどこにも、この異様な空間のことは記されていない。


 そのまま次のページ次のページと捲っていくが、結果は同じ。


 地下37階、地下38階とこれまで通りに一回ずつ詳細が記されているばかりで、一向にここの記載は見つからない。遂には地下54階の最終項までページを捲ってもなおココのことは記されていなかった。



(……何故、ここを通らせるんだ?)



 マリーは内心、首を傾げた。


 この中では、おそらくあいつらも俺のことを見失う可能性があるのに……もしかすると、これも道標の時と同じか……なら、急げってことなのか……いや、それなら……。



「……あの、さ」



 ブツブツと呟きながら考え込むマリーに、サララが待ったと言いたげに手をあげた。



「まるで話が分からないんだけど、どういうことなの?」



 訝しげに首を傾げるサララに、マリーは「この本はな、実のところ、唯一のガイドブックなんだ」おもむろに本を……『鬼聖踏破伝』の表紙をサララに見せた。



「『がいどぶっく』って?」

「ダンジョンの案内書さ。数ある書物の中でもこれは他の書物と違い、唯一で本物の一冊……つまり、ここには嘘が一切書かれていないんだよ」



 その言葉に、サララは首を傾げた。


 そりゃあ、間違いもあるだろうけれども、書いた当人は本当の事しか書かないだろうと思ったからだ。


 でも、マリーの言わんとしている事は、そうではないのだろう。


 それが分かっているからこそ、サララは傾げた首を正し、頷いて、理解したということを示した……のを見て、当のマリーは困ったように頭を掻いた。



「とりあえず、そういうものだと思え。要は、細部の誤差はあるものの、これに書かれている通りにこのダンジョンは構成されているってことだ。言い換えれば、これに書かれている場所を通らないとあいつらが居る地へと行けないようになって――」



 そこまで述べた辺りで。



 ――っ。



 不意に、耳に届いた声。懐かしくも聞き覚えのあるソレに、マリーも、サララも、ハッと目を見開く。


 声の出所を探ろうと周囲を見回し……二人の視線が、ほぼ同時に部屋の中央にある柱へと向けられた。



 ……いつの間にか、柱からはほんのりと光が溢れ出て――いや、光だけではない。



 初めからそうなっていたのか、それとも気づかぬうちに漏れ出したのか。柱の下腹部から滴り始めた液体はほんのりと光を放っており、床を黄金色に染めていた……と。


 カシュン、と空気が抜ける音と共に、唐突に柱が割れた。というよりも、それは割れたというより、開いた、という方が正しいかもしれない。


 中心から縦に開かれた黄金色の光の中から雪崩のように零れ出た黄金色が、ざあ、と面積を広げた……その中に、ぴちゃり、と小さな足が降り立つ。


 その姿を目にした瞬間、マリーも、サララも……言葉を失くした。


 何故なら、二人の視線の先。柱の中から姿を見せたのは、見覚えのある黒髪の少女であった。


 ぽつんと膨らんだ乳房、成熟の兆しが見られない四肢。黄金色の中でなお鮮やかな黒髪は白い肌に張り付き、身体中の至る所からチューブが生えている。


 ぼんやりと虚空を見つめていた黒い瞳が、ゆるゆると気だるそうに瞬きを繰り返す。


 ぽたぽたと、肌から滑り落ちた黄金の滴が床にぶつかる。その合間に滴り落ちる、幾つもの鮮血。それは、少女の淫裂から滲み出たものであり、素肌を伝って床に赤色を広げていた。


 プチプチプチ、それは、少女の肉体に突き刺さっている幾つものチューブが抜け落ちる音。


 ぱちゃ、とチューブが飛沫をあげ、ぴゅる、と噴き出した鮮血は瞬く間に辺りに飛び散り……それ以上の速さで傷口が塞がっていくのを、マリーも、サララも、ただ見つめるほかなかった。



「……イシュタリア」



 その少女の名を、口走ったのはどちらが先か。


 それはマリーにも、サララにも分からなかった。いや、もしかしたら、両方がほぼ同時にその名を呼んだのかもしれない。


 どちらにしても、イシュタリアは己の名を呼ばれたことで我に返ったのだろう。


 スッと、濡れ光る唇が僅かに開き、息をする。胸が上下するに連れてその目に光が、意志の色が灯り始める。たっぷり5回……深呼吸を繰り返した辺りで、その黒い瞳が辺りを見回し、そして二人を……マリーを捉えた。



 その瞬間――イシュタリアは動いていた。



 ぱちゃぱちゃと金色の飛沫をあげて床を蹴ったイシュタリアの身体を、「――っと!?」マリーはたたらを踏んで受け止め……耐えきれず、尻餅をついた。


 避ける間も、制止する間もなかった。


 気づけばイシュタリアは無言のままにマリーの肩に顔を埋め、顔を伏せていた。何が何だか、全く分からない状況であった。



「お、おい、イシュタリア? いきなり何だ、はな……っ」



 傍にいるサララのことを思いだし、慌てて振り払おうとしたマリーであったが……その抵抗は、すぐに力を失くした。


 なぜなら、抱き留めたイシュタリアの身体が……はっきりと感じ取れる程に震えていたから。


 そして、何よりも、抱き留めたイシュタリアから……鼻を啜る音が聞こえてきたからであった。



「……お前、泣いているのか?」



 恐る恐る、マリーは問い掛ける。


 けれども、イシュタリアからの返事はなく、背中に回された腕に力が入るのを実感した。


 ……いったい、イシュタリアの身に何が起こったのだろうか。いや、それよりも、何故イシュタリアはダンジョンの地下に……それも、こんな場所に居たのだろうか?


 どうしていいか分からず唸っていると、ふわりと、イシュタリアの肩にマントが掛けられた。


 それは、マリーがサララに渡していたものだった。


 ソレを見てようやく我に返ったマリーは、イシュタリアの頭にタオルを乗せたサララを見上げた。



「いくら何でも、泣いて震えている人に嫉妬したりはしない」

「いや、まだ何も言ってないんだが……」

「顔に書いてあるよ……ところで、マリーも知らなかったんだよね?」



 言わんとしていることが分かったマリーは、素直に首を縦に振った。


 それを見てサララは、「まあ、分かっていたらそんな顔してないか」複雑な顔でしばし嗚咽を零しているイシュタリアと、その尻付近に広がる鮮血を見つめると。



「……いっぱい泣いてスッキリしたら、ちゃんと説明してよ。それまでは、見ないフリしてあげるから」



 そう言って、ちょっとばかり優しい眼差しをイシュタリアに向けた。



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