第2話 どちらでしょうか(改1)


 「初めまして。……おや おや、まだのようでうね。あなたも手続きを忘れたのでしょうか」

 「いえ、私は ちゃんと言い置いていたのですが、家族の者達が納得していないようで。

 ご足労頂いたのに申し訳ありません」

 「いえ いえ、あなたの責任ではなかったのですね。良かったです、それだけでも 後々の心象が違いますからね」

 「私も、このままでは苦しいばかりなので 何とかして欲しいのですが、何か方法は無いでしょうか」


 「ふむ、……これを続けさせようとしている方を教えて頂けますか」

 「構わないですが、何をなさるのですか」

 「少し、お灸を据えましょう。さもないと いつまでもこの儘ですよ」

 「それは嫌ですね。先ずは長男で……」


 ■■■


 「また会いに来たよ」

 「お迎え ありがとうございます。ですが どうやって皆を納得させたのですか」

 「ふむ、今度は行けそうだね。

 簡単です。あなたの状態を『夢の中』で体験させたのです」

 「あぁ、それで。全員 寝不足気味な顔をしていたのですね。死神さんも大変ですね」

 「いえ いえ、アフターケアならぬ ビフォーケアですよ。

 そうだね『延命治療』という名の拷問、人体実験かな 不幸な時代になりましたね。死ぬべき時に死ねないのは残酷極まりない。

 あぁ、では ご案内致しましょう」

 「宜しくお願い致します。ところで、私が行くのは どちらでしょうか」

 「私が迎えに来たのです、もう ご存知かとばかり思ってましたが。

 もちろん、地獄ですよ」


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