第12話

お父さんが死んだのは、今から少し前のこと。私がまだ中学生で、澄香が3歳になったばかりの頃のこと。

その日はいつもと何ら変わらず、まさかお父さんが…殺される、だなんて誰も予想していなかった。

澄香もその頃は活発な明るい子で、私の家族はとても幸せだったはずだ。

あの、殺人鬼さえいなければ。

その殺人鬼は今も犯罪を続けている。証拠が一切残らないから、捕まえようが無いし。

じゃあなんで、その人が殺したとわかるか。

これはあとから知ったんだけど、被害者の体に「ナンバー」が金色の絵の具を包丁に塗りつけて彫り込まれているらしい。

お父さんは1人目の被害者、だった。刃物でめちゃめちゃにされて、体は全てバラバラだったし、臓器も全て抜き取られていた。

首から上はどこを探してもなくて、身元判明までかなりかかってしまった。

こんな話、友達にできっこないし、先生も…無理だ。私を普通の女子生徒だと思っているから。父親が事件で死んだことは内密に。交通事故ってことにしてる。犯人がどこにいるかわからないからだ。

私はお父さんがなぜ殺されたのか、わからない。無差別殺人、だったのかもしれない。

誰かに話したい。この不気味な噺を。

なんてね。無理なことはわかってる。

クローゼットをあけた私は制服を手に取って着替え始めた。

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