第10話
自室に入ると、着替えを済ませ宿題もした。いつもの流れだ。お母さんも、先生に連絡したのは澄香がうるさかったからってだけで特に心配はしてなかったようだ。
そりゃそうか。高三のほぼ「大人」にパートで忙しいお母さんが構うわけないものね。しかも、まだ7時半過ぎだし。
「…今日は華東くんに絡まれてばかりで疲れたな…。」
それに結局、目的はわからなかったし。
お風呂で鏡の中の自分を見つめてみる。クラスの子に話したら告白だなんだと騒がれそうだ。
「…多分違うよね。」
余程大事な用事だったはず。だって、何回も呼び止めてきたもの。
お話、あの時すぐ聞いてあげればよかったかも。
移動教室に遅れて怒られるより、華東くんのファンの人達の私を見る目の方が怖い。
よし、明日声をかけられたらすぐに用件を聞こう。
それか、私から話しかけてみようか。
とりあえず明日の、生徒指導を乗り切らなくては…。
というか生徒指導の時に聞けばいいんじゃない!
それなら二人きりになる時間もあるし、言いやすい。
そうしよう!
私は水を切って立ち上がった。
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