第8話
小村未唯の方、と華東くんがボソリと言う。確かに、あの子の一人称はみぃだった。
水咲でもありだけれど、未唯の方がしっくりくる。って、これはどうでもいいっけ。
ハッとしてさっきの話に意識を戻す。
「先生、私そろそろ帰らないと。」
時間を見るとさっきから20分もたっていた。徒歩通学の人には少し厳しい時間帯だ。暗くなってきているし、最近変質者が多いからっていうのが原因で、帰りは必ず誰かと帰りなさい、と学校でも指導されていた。
こんな夜道を1人で歩くなんて、ただでさえ怖くて仕方が無いのに、変質者なんていたら尚更だ。
「あぁ、そうね。指導は明日にしましょう。
華東くんは、どうですか?今から電車、あります?」
華東くんって電車通学なんだ。じゃなくて、電車がないと大変だよね。華東くんが学校に残ったのって半分私のせいだしなぁ…。
よし!
「で、電車無かったらバスとか、タクシー代は、出すけど。華東くんが小村さんに追いかけられたのって、私のせいでしょ?」
財布に1000円入っていることを確認しながら言う。
「いい。俺は、神奈川のせいとか思ってないし。」
それは良かった。
「そ、それにお金の貸し借り、奢りなんかは禁…!少し待ってください、神奈川さん!?」
先生がせめてもの反論をしてくる。私はそれを全て聞き終える前にダッシュで帰ってしまったけれど。
…あ。
結局華東くんの要件は謎のままだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます