第6話
「神奈川さんですか?」
ふいに担任の声がして、うぎ、と変なうめき声がでた。ある程度予想はできたはずなのに振り返るのが怖くて前を向いたまま話す。
「はい、そうです。」
「カバンも持たずにこんな時間に学校にいて、大丈夫なんですか?さっきお母さんから連絡が来ましたよ。」
「え、ほんとですか?」
私はやっと担任…素衛(もともり) 先生に向き直って聞く。
「私があなたに嘘をついてどうするんですか…」
「あ、確かに。すいませんでした。」
「いや、別に謝らなくてもいいんですけれど…。」
しばらくの沈黙の後、そういえば、と先生が口を開く。
「結局、なんで学校にいたのですか?」
「…えっと、少し忘れ物をしてしまって。取りに来ていたんです。」
「それなら何故、あなたの親から私に連絡が来るのですか?それに、門の施錠はバスケットボール部の顧問が既にしていますが、どこから入ったのですか?」
うっ、と言葉に詰まっていると
「ずっと学校にいた、とかじゃないすかー」
なんて声が後ろから聞こえた。振り返るとそこには、華東くんがいた。
私のいるところに華東くんはスタンバっているのだろうか…?
そんなことを考えつつ、
「はぁ」
とため息をついた。また面倒なことになりそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます