第5話

「ん、今何時…?」

目が覚めると空はもう暗くなっていて。時計を見ると最終下校時刻を30分ほど過ぎていた。

「なんで誰も起こしてくれなかったんだろ」

そう思い辺りを見回すと、いつのものかわからない絵の具セットや、卒業記念で黒板アートをしたままの黒板という明らかに使われていない教室があった。

空き教室を選んだつもりではあったけれど、これってほぼ廃墟じゃない?

埃まみれだし。と、いうか帰らなきゃ!

私は帰宅部だし、こんなに帰りが遅れたことは今まで無い。きっと妹が心配しているだろう。

そうと決まったら鞄を取りに教室に行かなくちゃ!

「い、痛い…」

うつぶせで寝ていたからか、はたまた長い時間寝すぎたせいか分からないが、腰が痛くてまっすぐ歩けない。

少しきついけれど、腰を曲げれば普通に歩けるな…。

「家に帰りたかったら頑張るのよ、天音。」

自分に言い聞かせ、重い足取りで歩いていった。

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