白と黒の調べ Chapter.7
「ク……フフフ…………」
こうして幕を閉じてみれば、実に
目に掛けていた
笑うしかない……
「エリザベート・バートリー──名門〝ハプスブルク家〟の
「だ……誰だ!」
不意に聞こえた
その姿を確認したくとも、相変わらず身体を動かす事が叶わない。
先程の一幕とは状況が異なる。
正体不明の相手に
「そんな警戒しなさんな。ただの〈
「死神……だと?」
「そう、ただの〈死神〉だ。だから、別にオマエさんをどうこうするつもりもねぇよ。ィエッヘッヘッ……」
その独特で下品な
「その死神が
「オイオイ、死神の
「ふざけるな! キサマ如き
「フムフム、なるほどねぇ──最初は、戦地へと
「な……何?」
彼女の
「けれど、実際にはテメェの
「キサマ、何を……?」
間違いない!
この男は──
待て、そうではない。
エリザベート自身は、いま現在〝過去〟を思い起こしてなどいなかった。
つまり正確に言うならば、見通されたのは〝心〟ではなく〝過去の事実〟そのものだ!
「最初は黒人の使用人から学んだ〝まじない〟か……ま、ソイツの
「……や……めろ」
「やがて、口うるさい
「……やめろ」
「犯行直後のオマエさん、いい
まるで現場を
いや、おそらく見ているのだろう。
だとすれば、それは〈
不思議ではない。
「
「やめろ!」
「だが、こりゃ
「やめろと言っている!」
「イヤだね」
「オレ様はよ、相手の
「キ……キサマ! ズケズケと立ち入りおって!」
「そう怖い顔しなさんなって。言った通り、オレ様は何もしやしないぜ? ただ〝事実〟を見通してるだけだ。もっとも
ゲデは自分を呪い
「実に
「こ……の
予想以上に最低な
引き裂いてやりたい殺意に
「さて、続けようぜ? 誇り高き〝
「キ……キサマァァァ!」
「──と言いてぇトコだが、どうやら幕引きみてぇだな」
どうした心境の変化か、ゲデは
だが、それはすぐに
次なる事態を認識した瞬間、彼女は戦慄を覚える。
周囲の
最初はデッドかとも思った。
しかし、彼等はれっきとした人間──居住区画の在住者達であった。
一人……また一人と数が増え、あれよあれよと集団になっていく。
やがてそれは、地べたへと
「……〈吸血鬼〉だ」
「俺達を苦しめる悪魔が此処にいるぞ」
「なんでこんな……いままでだって、おとなしくオマエ達に
「ふざけやがって! コイツ等にとっちゃ、俺達人間なんて
「返せ! 私の子を! 妻を! 私の家族を返せ!」
彼等の手に握られているのは、鉄の
「おやおや、どいつもこいつも
「キ……キサマ!」
「おいおい、勘違いしねぇでもらいてぇな? コイツ
「クッ!」
「もっとも、さっき散歩がてらに歌ったか。『この襲撃を
「キサマァァァァァアア!」
だが、
──重い衝撃と鈍い
「う……うあああああああああああああああああっ!」
肩に!
脚に!
手首に!
「吸血鬼! 吸血鬼! 吸血鬼! 吸血鬼!」
「死ね! 死ね! 死んじまえ! 殺してしまえ!」
ある意味、人間は怪物以上に〈怪物〉──カリナの
その認識は間違いなく
いままさに、その
もっとも、その警鐘をエリザベートが知る
あれほど
冷たい
それでも、
もはや
遠巻きに
「ま、頭部切断は〝吸血鬼殺し〟の
黄色く
「喜べよ〝
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