白と黒の調べ Chapter.6
単に
地表へと
その
「が……は…………」
地面を
全身が
内蔵も
にも関わらず、彼女は死んではいない。
虫の息ながらも息絶えてはいない。
ここに
死なぬとは言ってもダメージはある。
現状、小指ひとつ動かせなかった。
明らかな
さりとも
それが〈吸血鬼〉の特性だ。
しかしながら、それが叶うはずもない。
むざむざと敵が見逃すはずもないのだから……。
気配を感じた。
異なる方向から、ふたつだ。
ひとつは、自身が転落した上空からフワリと柔らかく舞い降りて来た。
もうひとつは、コツリコツリと冷たい足音を響かせ歩いて来る。
それらが誰かは言うまでもない。白と黒だ。
「エリザベート……」
視野の外からカーミラが呼び掛けてくる。
温厚な口振りからは、明らかな哀れみが
言葉
「いまにして思えば、
「ええ。
「
「密着体勢では
「
「まさか? カリナの
「何?」
「ああ、思いつきで投げてやっただけだ」
「カーミラがキサマを
「あら、
「ぬかせよ。どうせ
愛らしい白の
「もっとも、
挑発めいて
その
気持ちを切り替えた少女盟主は、再びエリザベートへと関心を移す。
「エリザベート・バートリー──
「……
「真性の武闘派であるジル・ド・レ卿には、武力面では
「
エリザベートにしてみれば、カーミラ・カルンスタインは徹底的に
だが、カーミラの方は、そんな自分を尊重すべき〝
(……
認めざる
もはや
「さあ、殺すがいい。覚悟はできている」
「殺すのは構わんが、その前に
カリナが
その
「
「キサマは
「クックックッ……そんな事か」
「ああ、そんな事だ」
ややあって、エリザベートは素直に語り出した。
このような結末になっては、
何よりも、自分を見捨てた裏切り者へと
「
「そいつ自身は〈吸血鬼〉ではないのか?」
「違うな。ヤツは〈魔女〉──
「〈魔女〉……か」
推察するに、今回の
エリザベート自身に野心があったにせよ、それを
そう確信を
各人の黙考が、
それを
カーミラ・カルンスタインである。
「ねえ、エリザベート? もう一度やり直せないものかしら?」
「……何?」
「確かに思想や理念で、わたしやメアリーの
「……私を見るな」
「
「言葉は悪いけれど」
「……どこまでもアマいな、カーミラ・カルンスタイン」
なけなしの
彼女の
それらが
短い
「…………行け……捨て置け」
「エリザベート?」
「
次期盟主の野望は
それでは、
だからこそ、黒の
「……行くぞ」
「カリナ?」
あまりに淡泊な対応に
「待って、カリナ! あのまま放置していては、エリザベートは……」
「最悪、
「
「それが分かっていて、何故?」
「分かった上でヤツは選択した。本人が
「けれど!」
「オマエの
どこか寂しさを
望めど
現状に
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