4.3歳のシエラ
3歳。
私は前世・皐月の記憶のお陰で、3歳にしてはとても聡明な少女になっていた。
そしてある1つの事実にたどり着いた。
なんと、この世界には魔法があるらしい。
しかも、私にはこの世ではとても珍しい力を持っているらしく、それがなんなのかだれも教えてくれないが、その力のせいで国は私を欲しがり、13歳で確実に王都行きが決定している。
あと10年。
絶対に自由に生きるすべを見つけてみせる。
まず手始めに魔術の習得だ。
前世のお陰で言葉はそれなりに喋れるし、きっと大丈夫だろう。
そうだ!今年で13歳のキリトお兄様に魔道書を借りよう。
「ヒャルラさん。キリトにぃにのとこいきたいな。」
この言葉遣いは意図的だ。
きっと3歳の子供がペラペラと喋り始めたらホラーだろう。
私の心遣い。
優しいね、私。
「はいはい、キリト坊っちゃまのところですね。ただいま参ります。」
ヒャルラさんと手を繋ぎながらよたよたと歩いてキリトお兄様の部屋へいく。
3兄弟で1部屋ずつ広場に近い順に歳が高い方から与えられているから、キリトお兄様の部屋は1番遠い。
私はまだ小さいからお母様と一緒のお部屋だ。
はやく自分の部屋が欲しいなぁ。
とか思ってるうちに、キリトお兄様の部屋に着いた。
ヒャルラさんにドアをノックしてもらうと、キリトお兄様はすぐでてくれた。
「ヒャルラ、どうしたの?」
どうやら私には気付いていないようだ。
可愛い妹の存在ぐらい気付いてよ!
「ふふっ、キリト坊っちゃま。本日用事がございますのはわたくしではなく、シエラお嬢様ですわ。ほら、シエラお嬢様?」
ヒャルラさんに促され、一歩前にでると、キリトお兄様の顔が一気にデレッとなった。
ちなみに3兄弟は私が生まれてからの3年で完璧な妹バカになっていた。
なんだか申し訳ない。
それはそうと本題だ。
「あのね。シエラね、キリトにぃにのまほーのごほんが見たいの。らめ?」
あぁ、私の「キリトにぃに」の一言でとてもカッコイイ顔がとても残念な顔になるのが申し訳ないよ~。
しかもキリトお兄様は今もなお、そのデレ顔で、
「いいよ~シエラ、どれがいいかな?シエラは頭がいいからこのくらいの本がちょうどいいかな?」
とか言ってヒャルラさんにどんどんと本を渡していく。
このままだとヒャルラさんが潰れてしまいそうだ。
「キリトにぃに!2冊ぐらいでいいから!いいの2冊、えらんで?」
「おぉ!まかせろ!」
よし、これで制御完了。
キリトお兄様は凄く真面目な顔して、どの2冊がいいか考えている。
どんな2冊が出てくるんだろうか?
「はい、シエラ。まずは基本の魔道書と、そこらへんの神話をまとめた話だ。神話を読むと覚えやすいから、よかったら読んでみてね。よみおわったらおいで。」
お、選び終わったみたい。
神話かぁ、面白そうだね。
さっそくキリトお兄様にさよならして、ヒャルラさんとお母様の部屋に帰った。
さて、どんな話かな?
転生少女のチートな人生は前途多難。 三月 深 @mizukisin0822
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