第6話
彼女を認めてしまってから数日がたったときのこと、俺はいつものように学校に登校した。そしていつものように席につき、鞄の中から本を取りだし読もうとする。
しかし、ここでいつもとは違う事が起きた。
「おはよう、匙戸!」
そう、彼女が俺の机の前に来てわざわざ目立つように挨拶をした。そして何より……口調が違う。
「何を見てるの、匙戸?」
驚きとあまりのギャップに若干、戸惑ってしまう。そして何よりも距離感が……
「近い。」
そう、近いのだ。人間にはパーソナルスペースと言うものが存在する。
パーソナルスペースとは4つに分けられていてその一つに密接距離と言うものがある。それは近しい間柄だけが許される距離感である。
何でこんな説明をするのかって?
それは彼女がその密接距離と同じくらい…いや、密接距離だったからだ。
「ハァ……。」
人間、数日でここまで変わるのかと言う驚きで数日前の自分に対して苛立ちを覚えてた。
しかし、彼女が変わったことは事実なのだ。それも自分が多少なりと関わったことも事実だ。
つまるところ、この頃から俺は完全に彼女に気に入られた、と言うことになる。
まぁ、それはそれでよかったのだ。この頃は誰に気に入られようが、嫌われようが気にしていなかったから。
けれどこの辺りからだっただろうか。俺にもイジメが始まったのは。
そうそう、この日も嫌がらせはあったはずだ。確か……昼休みだった気がする。
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