第2話

 さてと、何処から話そうか?そうだな、やっぱりあの雪が降っていた冬の頃の話からしようか。


 たしか俺がまだ高校二年のことだったと思う。高校二年の冬にもなると周りの生徒達が大学だ、就職だと少しざわざわし始めた頃だったな。うん、そうだ!このときだったと思う。あの少女が気になり始めたのは。

 いつも自分の席にいて、誰とも話すことなく、ひたすら花の辞典……でいいのだろうか?確かそのようなものを見ていた気がする。

 そんな彼女にも、話しかけてくる人たちは幾人かいたと思う。しかしそのすべての人達を彼女は『悪いけど、話しかけないでもらえるかな?』と冷たく言い放って遠ざけていた。

 まぁ、そんな事をしていればいつしかあることが起き始めるのはわかりきっていた。まぁ簡単に言えばである。


「何あの女、マジで腹立つんだけど!?」


「そうだよね!せっかくこっちがさ、声かけてあげてるのに。」


 と、このような感じでベタな陰口から始まっていった。

 しかし、改めてこの言葉を聞いてみると凄く恩着せがまし気がする。誰も声をかけてほしいなんていってないの。勿論、声をかけて欲しい人もいるだろう。しかしだ、全員がそうであるわけではないのだから、この言い方には少し間違いがある。

 と、そう考えていた俺と同じく少女もそう思ったらしく。


「そういう、恩着せがましするのやめてくれるかな?凄く鬱陶しい、それに私優しいアピールをするために私を使わないでくれる?」


 ……俺よりも凄いことを思っていたらしい。わからないでもないが、そんなことを言えば余計にいじめがエスカレートするのはわかっているはずだ。けれど、あとから思えばそれは彼女のプライドが許せなかったのだろう。

 それから一週間もしないうちに彼女は完全に孤立した。何をするにも陰口が飛び、終いには足をかけられたり彼女が見ていた花の辞典を少し破かれたりとどんどんエスカレートしていった。


 ん、俺は何をしていたのかって?それは……まぁ、予想できるだろ?関わらず、遠目でそれを眺めていただけ、さながら傍観者だな。

 しかし、そんな現状も三年の春になると一気に変化していく。

 何故か?そんなの決まってる。俺は彼女のせいでいじめの対象に含まれ始めたのだから……。

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