受験

こんなことよくある話なのかもしれない。



「**さんなら大丈夫。」


皆が口を揃えて後押ししてくれた。

その言葉を信じて私は受験に挑んだ。


受験が終わり、私達は

1人ずつ校長室に入り、結果を渡される。

私は、一番最初に呼ばれた。

ノックをして校長室に入る。

ふかふかのソファーに腰掛けた校長は、

私を見て最初に一言こう言った。


「**さん、残念だった。」


受験に落ちた。目の前には不合格の字が

刻まれた薄灰色の紙が置かれていた。



──何が大丈夫だよ、全然ダメじゃん──



皆の言葉を信じた私が馬鹿だったのか。

これが私の実力だったのか。

それともたまたま運が悪かったのか。

やっぱり私は優等生にはなれなかった。

それから私は、「大丈夫」という言葉を

信じられなくなった。




そして時は流れ、今、約10日後に

2度目の入試を受けることになった。

懲りない私はまた同じコースを受ける。

この4ヶ月間、私は私自身と向き合った。

周りの期待に応えるのではなく、

私自身が納得する私になるために。



まだ受験は終わっていないが、

きっと私はまた落ちる。

実力が足りないのは分かり切ったことだ。

そして私の受験生活は終わるだろう。

私の約半年間の冒険はもうすぐ幕を閉じる。





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