第2話


「修! かわいい土鈴見つけたんだ! うちの玄関には白と金、どっちがいいと思う?」


 強引に引っ張られながら、列からはぐれさせられる。


「おっ前――…」


 せっかく並んでたのに、と自分が並んでいた場所から後ろを見ると、いつの間にこんなに増えたんだ、と思う程、けっこうな人数が並んでいた。


「おい。ちょっと待てって、浩行。せめて神様に挨拶してからに――…」


 そこまで言って、さっきの女2人が居ない事に気づく。


「あれ? お前女に声かけられてなかった?」


 訊いた俺に、「ん?」と浩行が振り返った。


「そうそう。よく見てたな」


 笑って答えた浩行は、「じゃあ神様に挨拶が先かなー」とそっちを悩んでいる。


「誘われたんじゃないのか?」


 今度は俺を列の最後尾へと引っ張って行きながら、「誘われたよ」と頷いた。


「だから、連れがいるからって断っといた」


「断ったぁ?」


 なんで? と足を止めた俺に、浩行がつんのめるようにして砂利で足を滑らせる。


「突然止まったら、コケそうになんだろ!」


 バシリと腕を叩いてきた。


「なんでって……え? 修は俺の連れだろ?」


 もちろんそうだが、そうじゃない。

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