第4話
「それだけか?」
それくらいであんなに怒るのか?
「いやー、その後『そんな事も知らねぇの? それでもカノジョ?』って、思わず」
「ああー」
そりゃ怒るか。
短く息を吐いて、ソファの背に凭れた。
「なんでお前は、そうやって人の彼女にチョッカイ出すワケ?」
「チョッカイって……。人聞きワリィ!」
プゥッと頬を膨らませ、4ツに切ったケーキを1切れずつ2枚の皿に移していく。
「俺がクラシック好きじゃないの、知ってんだろ」
俺がそう言うと、ククッと肩を震わせ、笑い始める。一通り顔を伏せて笑うと、上目遣いに俺を見上げた。
「で? 誤解は解けた?」
悪戯っぽく微笑んで、ケーキの乗った皿を俺へと差し出す。それを受け取って自分の前へと置いてから、俺はシャンパンの瓶に手を伸ばした。
「別れてきた」
「えぇーッ?」
飛び上がる程驚いた浩行に、「ふきん」と伝える。「あ、ああ」と動揺したままキッチンへと走った浩行は、すぐさまふきんを持って戻って来た。
「フラれたの?」
俺の所為で? とふきんを渡してきながら訊く浩行に、こいつ学ばないな、と顔を顰めた。
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