第4話
そもそも浩行は、決してつまんない奴ではない。甘えたな性格ではあるが、そこもまた、女達からモテる理由の1つだった。
「じゃあ、なんて言ってフラれたんだよ? 突然『つまんない』って言い出したのか?」
「いや。『浩行君って、矢野君の話ばかりするよね。つまんない』って」
「俺ぇ?」
突然俺の名前が出てきて、びっくりした。
「いや、だってするだろー? 麻美より修といる方が長いんだもん。話にだって、出てくるだろー?」
俺が原因だと言われて怒るとでも思ったのか、慌てて言い訳してくる。
短く息を吐いてビールをあおると、「お前は?」と訊かれた。
「何が?」
「お前は話する時、俺の事話に出てきたりしないの?」
「そもそも、自分の話なんかしない」
は? と、浩行が怪訝そうな顔をする。
「じゃあ、なんの話すんの?」
「俺から話なんかしない。大体女は、勝手に話すんだろ? それにふんふんと頷いてやれば、話は途切れない」
目の前で固まる友人を見ながら、再びビールを口へと運んだ。
「……そんなんで、面白い?」
不思議そうに訊いてくる浩行に即答する。
「つまんないよ」
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