ある事に気がついた

ある事に気がついた 第1話


 アルバイトを終えてマンションに帰ると、同居人の中野浩行がリビングで酒を飲んでいた。


「何? なんか文句でもあんの?」


 リビングに1歩入り、唖然としている俺に何やらからんでくる。どうやらすでにデキあがっているようだ。


「いや、別に」


 俺は時計を確認しなから、リビングに隣接してる自室へと向かう。


「もう10時まわってんし、酒飲んでてもなんの文句もないよ」


 この時間ですでにそんな状態になってるのには、ひと言いいたいけど……。


「大学で何かあったのか?」


 何気に訊くと、ソファから立ち上がった浩行が、フラフラと部屋まで付いて来た。


「麻美に、フラれたんだよねぇ」


「また?」


 俺の言葉に、ジトリと睨んでくる。しかしすぐにフラつくと、ガツンと肩をドアへとぶつけた。


 その拍子に、持っていたグラスからウィスキーが床へと零れる。


「おっ前! 絨毯汚れんだろッ」


 目を剥いた俺は浩行からグラスを取り上げ、そのままリビングの硝子テーブルへとグラスを置く。


 ぞうきんを持って部屋に戻ると、


「お前は! こんな時に俺より絨毯取るのかーッ」


と、浩行が駄々をこねていた。

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