第9話
卒業式が終わった後の、賑やかな空間で。
奥野と2人で写真を撮ってもらっている上田を見かけた。
笑顔で写真を撮って。
笑顔で奥野に礼を伝えて。
けれど――。
奥野の居ない場所で。
友人達に囲まれながら、しゃがみ込んで泣いている彼女を見た。
数日前の、俺の姿がそこにはあった。
ああ、だけど――。
それでもその涙で、彼女は気持ちに整理をつけているんだと判った。
「……高校卒業、おめでとう」
彼女には直接言えない言葉を、聞こえはしない言葉を、呟いて。
俺は、校門を出た――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます