第2話


「………………」




 ――自分の想像なのに、なんかムカつく。


 けれどもきっと、現実になるだろうし、それが現実というヤツなんだろう……。




 コン、コン……。




 小さく聞こえたノックの音に、息を止めた。


「奥野先生?」


 聞こえた声は、きっと同じ3年の上田だ。


 もう1度ノックの音がして、諦めたように帰って行った。




「どこに、居やがるんだろうな?」




 片想い同士の親近感で、そっと呟いてみる。


 さすがにドアを開けて、直接言う事はできなかったが――。




 もう放課後になってだいぶ経つのに、こんな時間まで彼女は残っていたんだな、と思う。


 きっと奥野と、言葉を交わす為だけに……。





 ガチャガチャ。




 開いてるかどうかも確認しない。


 当然のように、無造作に鍵を開けて、奥野が入ってきた。




「あんたガサツ過ぎ」


 顔をしかめて言った俺に、「?」と不思議そうな顔をする。


 そうして、内側から鍵をかけた。


「ふつう逆じゃない? 居ない時に鍵かけろよ」


「放課後以外はそうしてるよ」


「………………」




 俺が入れるように? そう訊こうとしたが、違ってたらムカつくから止めておいた。

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