寿司小説コンテスト

僕のせんりゃく

   僕のせんりゃく

          5年2組 叶 良二


 僕の家では、何かをおいわいする時、おす

しを注文します。僕の家はお父さんとお母さ

んとお兄ちゃんと僕の四人家族なので、でき

るだけたくさん食べたい僕は頭を使います。

 実は僕のお兄ちゃんは、エビとイカとタコ

と貝が大きらいで食べられません。だから、

僕は先にそれ以外の魚のおすしを食べて、後

でゆっくりエビとかイカとかを食べるように

しています。そうすれば、お兄ちゃんの食べ

られるものを先に僕が食べることができるか

らです。お母さんは「お兄ちゃんは魚しか食

べられないんだから、あんまり魚を取っちゃ

だめよ」と言いますが、お腹に入れば関係あ

りません。お父さんは「好き嫌いするのが悪

い」って言うし、僕もその通りだと思います。

 でも、ちょっと前にお兄ちゃんがじゅくか

ら帰ってくるのが遅くなった日は大変でした。


 僕が魚をたくさん食べてしまって、お腹が

いっぱいになった時には、ほかにタコと貝し

か残っていなかったんです。お兄ちゃんは泣

きそうになりながら、タコと貝をはがして、

ワサビだけ乗ったおすしを食べていました。

 僕はちょっとかわいそうだと思ったけど、

やっぱり笑いました。

「世の中は弱肉強食だ」とお父さんがよく言

います。僕もその通りだと思います。来週は

お兄ちゃんの誕生日だからまたおすしを注文

することになるけど、僕は絶対に魚から食べ

ようと決めています。できるだけ早くテーブ

ルにつこうと思っています。なぜなら、僕は

お兄ちゃんの事が大好きだからです。お兄ち

ゃんはやさしいです。でも強くない。だから

このままだと彼女ができない。心配なんです。

 お兄ちゃんも僕みたいに強くなって女の子

にモテまくりのリア充になってほしいと願う

弟の愛のムチなのです。わかったか良辰。

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