梟はフクロウのことですが、古名でいいどよというそうですね。
仁治元年というと鎌倉時代にまで時を遡りますが、4歳で即位して12歳という若さで崩御された四条天皇の物語ですが、やんちゃ盛りの幼さ故のこともあり、改めて読むととても痛々しく、悲劇の歴史を物語ってますよね。
作者からの返信
中澤樣
私の狭い「語彙世界」が瞬く間に踏破されてしまいそうですね……いいとよ、何とも有り難いことでございます。
必ずしも歴史家の目には留まらないであろう眇たる逸話と四条天皇の史実とを結びつけてみました。「滑石」のことは「五代帝王物語」(弓削繁校注『六代勝事記・五代帝王物語』、三弥井書店、2000)に、
(前略)主上あどなくわたらせ給(たまひ)て、近習の人・女房などをたふ(倒)して咲(わら)はせ給はんとて、弘御所に滑石の粉を板敷にぬりおかれたりけるに、主上あしくして御顛倒ありけるを(中略)やがて御悩つかせ御坐(おはし)まして、取あへず御大事に及びけり(後略)
と見えました。仰るように、帝王と言えどもやはりやんちゃ盛りの年端、そのことが悲劇を際立たせるようです。
他にも、こういった逸話の断片を史実に潜ませて「それらしい」物語に仕立て上げられないものかと夙に企望してはいるのですが、如何せん「考証」という作業に難渋しております。
企画でお邪魔しました、瞳です。
こういう文体で書かれているお話ってカクヨム内では珍しいと思うので、楽しみながら読ませて頂きました。こういった雰囲気に普段慣れていないからか、描写の言葉選びが新鮮に感じて面白かったです。
瞳の描写については「御年十の帝は〜」からの梟の部分を中心に紹介させて頂きますね。ご参加ありがとうございました!
作者からの返信
瞳 樣
珍かな企画内容に惹き寄せられ、先だってはついお邪魔してしまいました。
初めまして、工藤行人です。
この度は拙文に★と応援コメント頂戴し有り難うございます。物語性を極力抑え、「言葉そのもの」を書くことに偏執する散文ばかり細々と書いておりますので、文体や言葉選びにお心寄せて下さったとのこと大変有り難く存じます。
どのようにご紹介下さるのか楽しみです。何とぞお手柔らかにお願い申し上げます。屹度、拝読しに伺います。
こんばんわ、ニコラスAと申します。
私が四条天皇推しということを申したところ、このような超ピンポイントの素晴らしい作品を紹介下さり、ありがとうございます。世界は狭いというより、工藤さんの教養の範囲が無限に広すぎるのだと思い、圧倒されました。カクヨムでまず見ないすさまじい文章を書かれる方とFFで居られて私は幸せ者過ぎます。フクロウのふくれたところから、飯豊といわれていたことには驚きました。四条天皇はその短い人生のなかにかなりの不憫を負ったひとなので、梟のそれが恩返しであることを祈るばかりです。
作者からの返信
ニコラスA 樣
お返事の遅くなってしまいまして失礼致しました。
突然の「押し(推し)売り」にもかかわらず、ご高覧下さいまして有り難うございます。まさしくピンポイントで私も吃驚、何らか霊的な「引力」でも作用したでしょうか。
当初は幽世へと誘う凶鳥として梟を位置付けた伝奇ホラーのような短篇を想定しており、擱筆の段になって両義的な解釈(メリーバッドエンドと云うのでしょうか)もありかも知れないと思い付いてこのような形となりました。
私は守備範囲がかなり狭いので何もかも「総動員」せねばならないところ、ニコラスさんはSFのみならず実は中世欧州史の土壌もおありでしょう……拝読した御作にも用語やルビに少しくその片鱗を見出し得るものの、敢えて御自身の十八番はそのままに「保存」しておいて、誤解を懼れずに申し上げれば「隠しても滲み出てしまう」というのが奥床しさの所以なのでしょうね。
博多弁では「良いよ」の意で「よかよ」と云うそうですけれど、ふくよかな御仁には「それでも良いよ」と言う意味で「いいとよ」と言ってみたいものです(気付かれたらお仕舞いでしょうか……)。
今後とも宜しくお願い申し上げます。