第22話

【紅炎の魔】


僅かに汗の滲みたる、時化た空気と空の青

じわり目を焼く鮮やかな、色と温んだ清水の匂い

翻る、白き薄布はたはたと、鳴る靴の音も高らかに

はためく陰は夢現つ

彼岸此岸の行き狭間、巡る視界はからからと

黒の幽玄ひとわらい、落つる雫が目に沁みて

赤く瀞んだ日暮れ川、その傍らには向日葵ひぐるま

じわと鳴きたつ蝉の声


【穿心】


疑心暗鬼、暗中模索

全ては、全ては我に讐成す

翳す刃は銀に閃き、濡るる鮮血生ぬるく

然りとて空虚、痛みは埋めぬ

求むる言の葉、募るは饐えた、凝る泥濘赤黒く

底も浚えぬ毒の水面に、佇む処女は狂いて叫ぶ

汝、なれなして、 我愛さぬと、

しかし我は、甘言受けぬと

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ことのはあつめ 瀬戸晩霞 @Setouchi

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