第15話

揺蕩うみどり、水底に

沈む鏡の白き花

はらりはらりとちりゆくは、涙の如くこぼるるは

叶わぬ望み、かくありて

よとせ掬うはゆうらりと、燻る朝靄白藤に

相見えるは、見知らぬ児

嘗て光を見据えた児


白梅にに伸ばす指先嫋やかに

毀るる花弁泥濘に墜つ


鉛色映える桜花は勁烈に

人の目塞ぎ艶美に笑う

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