第16話

碧く並びし山並みのうちにうごめく人の里

白く烟りし末見据え、融けし稜線やわらかく

吸う息まろくすみはてり

まみゆるいろは鮮やかに

湛ふみずえそ清らかに

散りし桜花の残り香を、処女濡れ羽の髪に纏うる


とねりこの青くならぶは田の浦に

笑う幼子玉の汗浮く


ゆうやけの目を焼く赤と鴉の子

谺せし声誰呼び響く


ゆうらりと慄う玉響琥珀色

落つる雫の甘露舌疼く


婀娜やかに艶めく紅と肉叢と

ただう色香の噎び鳴けるを

憶うほど深まる夜の褰帳とばり

揺るるこがねの絹裂く悲鳴



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