第14話

止まりし時計、かちこちと

時を知らせし銀の環が、澱み歪みて歩みを止める

しんと静まる屋の内と、緩く温んだ人の気と

ぐるり廻りて眺むれば、ひたり、咽喉元氷の刃


厭に瀟洒ななりをした、男は切子のさかずきを、掲げて琥珀を嘗め給う

からりと鳴るは丸氷、ぱっと散りたるこがねの

咥え煙草も飄々と、紫煙一筋棚引かせ

緩く微笑み、ただ一度、ついと古びた飴色の

卓指這わせ、火を消した


緋色に染めた水糊の、うちに浮かびし星の花

きんとひえた酒精をもって、色附けられたその色は、幼き心の疼く騒めき

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