第2話 気づき 2

「確証」に出会ったのはつい3ヶ月前程だ。

俺は最近「デジャヴ」のようなものを見ることがよくあった。(ついでに言うと、これにも全く「確証」は無い。)


「デジャヴ」をあまりにもよく見る(気がした)ため、「デジャヴ」について調べ始めた。まぁ結局、よく分からないまま、今記憶にすら出てこない程度の結論に至り、youtubeを見始めた。なんとなくの流れでテーマは超能力系のオカルト的な動画が自動再生で連続して再生されるのをボーっと眺めていた。

動画が切り替わり、見るからに胡散臭いおっさんが「トランプで超能力を鍛える方法」とやらを紹介し始めた。夏祭りの縁日で景品としてもらった金ピカのトランプが、俺がその時入っていたコタツの横の引き出しに入っていたのを忘れた日はなかったから、俺はそれを初めて取り出してみた。おっさんが言うには、「ハートのA(エース)を含んだ(他はランダム)5枚のカードを裏向きでシャッフルして並べ、直感でハートのAを当てる」ことを繰り返せば、超能力が鍛えられるらしかった。

俺は何となくやって見ることにした。

(この日の何となくは、思えば必然だったのかもしれない。)ハートのA入りのカード5枚を並べて目視した時、一枚のカードがやけに煩(うるさ)く俺の頭にノイズを送ってくる感じがあった。見た目にも少し他より明るく見えた。俺はそれをめくってみた。するとそれは紛れもないハートのAだった。俺は何度も、(数回ではなく10回、20回と)やってみたが、何度やってもハートのAを引き当てることが出来た。「偶然」は「確信」に変わり、「気のせい」は「力」に変わった。このトランプという「確証」のおかげで。

俺だけが知っていても確証には弱い。かといって人前で出来る確証はまだなかった。

実際、1人でやるときも一回や二回は失敗した。集中してない時か、選択に迷いを感じた時に失敗することもわかっていたからだ。


少しして母親が帰ってきたので母親の前でそれとなくやってみることにした。すると母親は何をしているのかすぐに聞いてきた。「ハートのAを当てるゲーム」と言うと、母親もやりたいといいだしたのでやらせてみることにした。自分の力が特別なのか、それともこんなことは誰にでもできるのか、簡単に出来るから余計に、自分自身気になってきていた。


母親は二回続けてハートのAを当てた。俺は流石に驚いたが、今までの事を母親に話すと、「わたしも学生の頃そうゆうの好きで、やってみたことあったのよ」と笑って言われた。普段そうゆう事を言わないから、とても意外だった。

話が盛り上がり、2人で当てることになった。母親と、これは違うよね、これじゃない?とか言ってると本当に当たってこわいくらいだった。途中、「このカードダイヤのQな気がするな」と言ったら、母親もそう思っていたらしく、ひどく驚く場面もあった。


これで確実に「自分の外」に「力の存在の確証」を得られ、俺はチカラに気づき、力は解放されたのだ。

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