とある異世界の戦い
みし
とある異世界の戦い
ここは戦場。とある二つの大国が戦争を続けていた。
東の王国の大将はアルゴと言いと西の帝国の大将はエルグである。共に国では名の知られた将軍である。二人の将軍は兵をを率いて戦場に赴いた。
大きな平野のただ中にその二つの軍がにらみ合い泥沼の戦を開始する。
東の大将アルゴは、西の大将エルグをにらみつける。それぞれ八千と一万二千の兵がいる。
総勢二万の兵隊が各々にらみ合ったまま。戦場は二分されている。
既にどちらも引かれぬ状態である。
エルグは魔法使いの部隊を呼び寄せて、一斉に火球を戦場に放たせる。
火の玉が雨あられと敵軍に降り注ぐ。
しかし、アルゴは僧侶の一団に防御の魔法を唱えさせてそれを防がせる。
無数の火球が防御の魔法に打ち砕かれて宙ではじけて消える。
魔法が霧散すると次は兵士の出番である。弓の一斉射撃の中、槍を構えて突撃を始め両軍入り乱れての白兵戦が始まる。
一進一退の情勢が永遠と思える時間続いていく。
エルグは人数にモノを言わせて兵を押し込むが、アルゴの用兵に阻まれる。
そのまま均衡状態が続いている。
「目にもの言わせてやろうか」とエルグは言う。
エルグは鷹の目の特殊技能を持ち空から戦場を俯瞰して見ることが出来るのである。
鷹の目を使う事で相手の伏兵も戦略も全てお見通しなのである。鷹の目で百戦の敵将の企てを暴き勝利をもたらしてきた男である。
百戦錬磨に俯瞰のスキル。アルゴの用兵如きにひけを取るわけも無く、守りの薄い所をを見定めては、そこに助勢を次々と送り込んでいく。アルゴの守りは徐々に崩れていてく。
しかしアルゴの兵隊も百戦錬磨である。綻びる戦線を必死に持ちこたえている。
双方譲れぬ膠着状態が続いていた。エルグは更に兵達に猛攻を命じる。
防戦一方のアルゴはここが我慢のしどころである。既に夕暮れに入っている。もう少し粘れば夜になる。夜に入れば戦は翌朝に仕切り直しになる。そこから体勢を立て直せば形勢を逆転させる事も可能であろう。アルゴは兵隊を叱咤激励し必死の形相で防戦を続ける。
しかし至る所に出来た綻びからエルグの兵達がアルゴに向けて飛びかかってくる。
アルゴは弓と矛を振り回し必死の構えで応戦する。
エルグの兵達はアルゴを槍で突こうとし、アルゴは馬を操りこれを回避。矛を振り回し迎撃する。
親衛隊も応戦する。エルグの兵達を逆に囲い込み撃破する。
エルグは、アルゴの本陣に準備するが、そろそろ夕闇に日が落ちそうであった。
「時間が欲しい」
それがエルグの本心である。夜に入れば鷹の目が使えなくなる。鷹の目は夜には効果が失せるのである。
エルグの焦りと裏腹に、アルゴは紙一重で猛攻撃を交わし続ける。
そうしているうちに夜の帳が降りきる。
流石に夜の闇では戦にならぬ。エルグは舌打ちしながら兵達に撤退を指示する。
アルゴは、ここで切り札を使うことにした。
それはフクロウの視界と同調する魔法。夜にしか威力を発揮しないエルグの特殊技能。エルグの鷹の目が昼にしか使えず、夜には無力なのに対しアルゴのフクロウの眼は死角を見渡す能力もあるが、夜にこそ本領を発揮する。アルゴは闇に飛ぶフクロウの瞳で獲物を捕らる。
闇の中にエルグの姿を見定めたアルゴはエルグに向けて矢を放つ。
「ひゅーっ」
アルゴの矢はエルグの急所に刺さり、一気に闇へ落とし込む。
突如大将を失ったエルグの兵達は、アルゴの反撃に溜まらず逃げ出した。
とある異世界の戦い みし @mi-si
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