第7話

 店主が厨房から出てくる。

 あの駒音が聞こえなくなったから出てきたのだろう。

すかさず僕は結果を報告する

「だめでした」

すると、店主は笑いながら

「だろうね、彼2段くらいあったはずだし」

と平然と答える

 なぜに僕と戦わせたのかと不思議思った。

それを店主が読み取ったかのように続ける

「だって彼、君と同い年なんだもん」

急に同い年宣言されても困る。

 確かに僕は彼を高校生くらいかと思っていたが、

ん、ということは店主は僕が年上だと思っていたのを見抜いていたのか。

ここまでくると本当に顔に文字でも書いてあるんじゃないかと思えてくる

僕は反応に困り「そうですか」なんて答えをする。


 店主は用事を思い出したかのように厨房へともどりながら僕に話しかける

「まだ時間があるならここら辺の子供達と軽く指していってね」

まぁ、そういわれたからには軽くさすが、試合はなく。

 僕は母の迎えで家に帰っていた。

母は運転をしながら聞いてくる

「今日はどうだったの?」

僕は外の景色を眺めながら力なく応える

「んー」

車にゆられながら、同い年の子との一局を思い出していた。


 家に着く。やっぱりこの安心感はまだ抜け出せない。

湯船につかりながら今日を振り返る。

 引きこもってからの中ではなかなか充実した方であっただろう。

これからしばらくは同い年の彼を目標にしよう。

そんなことをぼく僕は考えていた。

お風呂から上がると僕はすぐ眠りについていた。

将棋を指しすぎて疲れたのだ。

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