第5話


 とりあえずいわれた通り椅子に座り盤に駒を並べる

 見たところ盤は2寸ほど、駒の書体は水無瀬だ材質は恐らく何かの油を塗ったからか茶色に変色しているからわからない。

並べ終わり一息つく

静寂を先に切り裂いたのは店主だった。

「それじゃ、よろしくお願いします。」

「よ、よろしくお願いしますぅ。」

 僕の先手で早石田向こうは右四間飛車だった。

 結果を言おう。惨敗だ。

言い訳をすると、ひきこもりで人見知りの僕が、知らない場所、知らない人とさしているわけだもう将棋どころではない。

もう思い出したくもないレベルの負け方をした。

だがそれも店主にはわかったらしい。ん~とうなだれて

「それじゃぁ、ここら辺の子供達といくつか指して」

「あ、あとどれくらい勝ったか後でおしえて。」

と、まぁそう言った瞬間子供らが寄ってくるが、1つ店主の時とは違うことがある。

 僕は子供には慣れているということだ。

ただ予測できなかったことがもう一つある。

それは子供には定跡をしっかりと覚えている子が全然いないということだ。

 ほとんどの場合落ち着いて対処すれば勝てるが焦ると負ける。

まぁ5回戦い4回勝った。

 そのことを店主に報告していると、一人店に入ってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る