第4話

おそるそる僕は扉を開ける

「す...すみません」

かなり挙動不審だったはずだ。が店主はにっこり笑ってこちらを見る。

「あぁいらっしゃい」

読まれていた。人見知りスキルは発動したことよりも最初から見透かされていたことの事実のほうが恥ずかしかった。だが、まだ将棋をしに来たとは思っていないかもしれない、普通に忘れ物があったと思ってくれているかもしれない。

そんな願いはすぐに打ち砕かれた。


店主は近くにいた男性との話し声がきこえてくる「あれ?彼さっきの子じゃない?」「あぁ、おそらく恐らく将棋ですね」そんな事を話終わると再びこちらを見る。

「将棋だよね。ネットとかでやったこととかある?ウオーズってしってる?」

あ、うおわぁぁ

心の底から戻ってきたことを後悔した。が、その気持ちを顔にださないのは慣れているが、動揺が見え見えだったのだろう。

新聞を読んでいた男性は吹きだし、子供たちは一斉にこちらをみてくる。

が、それは慣れている。


僕はできるだけ平然をよそいながら僕は答える。

「あっ、ウオーズを一応やってます。一応よ、4級です。」

 店主は後ろを振り返りどこか盤が空いていないか探していたのだろう。が、四級という文字が頭で理解できると勢いよくこちらを振り向く

「よ、四級?」

店主は驚いているようだ。言葉が波をうっていた

僕は考える、店主は四級と聞いて驚いた。

1予想よりも弱かった

2予想よりも強かった

 普通に考えて後者であろう。しかし、ひきこもっている今被害妄想とまではいかないが、少しは意識してしまうものだ。

店主は落ち着きを取り戻すと空いている盤に足を運ぶ。

「そっか、じゃそこ座って、将棋私とやるよ」

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