第7話 第一話『コロンバ・マルフォイ→はりーシと先進国』

 此処は日本である。

 小さいながらも、高度な技術力を持ったエキスパート達が希に集まる、謂わば『先進国』である。そんな日本の首都、東京にある国会議事堂前、そう、あのソフトクリームみたいな建物の前に、1人の男がジョジョ立ちしている。目の前には、彼の親友が座りながら携帯を弄っている。


 彼の名は『マルフォイ』、

 本名は長いので本人は使いたがらない。

 オンラインゲームは一応、本名を使っているが長すぎるため、名前だけで画面が埋まってしまう。

 そんな事はどうでも良いわけで、彼がなぜ国会議事堂前に佇んでいるのか、その理由を説明しようと思う。


 彼は海岸沿いのとあるアパートに暮している。

 彼女は居ない。一方で親友はモテるようで、オンラインゲームとかでも男女距たりなくモテている。

 顔はそんなに悪くない。いや、寧ろ良い方なのだ。なのにモテない、それがワカラナイ。

 理由は到って単純である。彼は虫を見ると無性に飛びたくなるのである。この間も台所に置いてある調理器具を取ろうとした時、虫を見た途端に、大阪まで飛翔していまった。これがモテない理由の一つかもしれない。朝9時の特撮は見逃さないでござるよ。デュフッデュフ。

 あと、あるとすれば、彼は自分自身『スパ○○ーマン(自主規制)』だと信じて疑わないからである。ところ構わず手を『キツネ』の形にして、「シュッ! シュッ!」とか叫んだり、昨日なんかはベランダから「僕を待っている人が居る!!」とか言い、実際に「その」コスチュームの格好をして飛び降りた(無傷だった)。

 親友は「その」格好を見て呆れていた。

 まあ、平たく謂えば『変人』なのである。でもお互い少なからず常人とは違う特殊な趣味を持ち、変な趣向も持っている。傍から見れば生粋の変人なのをまだ本人は知らない。


 そんなある日のこと。

 マルフォイはカップラーメンを食べようと思い、お湯を沸かしていた。お湯が100度になるのをワクワクしながら待っていると、チャイムが鳴った。客人だ。

「ハイハイ? 誰ですかん?」

 金ちゃん走りで玄関まで行き、ドアを開けた。

「いつまで寝てるんだ『唯』? 連絡したんだけど出ないから降りて来たよ」

 そこに立っていたのは、マルフォイの親友「針生 遊戯」だった。

 マルフォイは目元を軽く擦りながら、遊戯に笑顔で話しかける。

「なんだ…はりーシか。おはよう。てか、電話くれたのか…気づかなかったよ」

 遊戯は訝しげな顔をし、視線を落し、腕時計を嵌めている腕を胸らへんまで上げると、

「寝ぼけてるのか? 時間を見ろよ」

 と面倒くさそうに言った。

 右腰に手を当てて面倒くさそうに壁に設えた壁掛け時計に姿勢を向けた。時間は昼をとうに過ぎていた。

 ちなみに、マルフォイの本名は『丸歩 唯』だ。つまり、『マルフォイ』は渾名。『唯』は音読みで『い』と読むから『マルホ イ』だが、語呂が悪いので今の『マルフォイ』になった。

 そして遊戯の渾名。マルフォイもさっき言っていたが『はりーシ』という渾名だ。由来は、苗字の『針』という字をとって『はりー』だ。『シ』については、『はりー』のままでも良かったがお互いに考えて今の『はりーシ』になった。

 考えてみると『マルフォイ』と『はりーシ』が仲良く会話している絵面はひどくシュールだ。

「あ」と、遊戯は何かを思い出したように言った。

「それよりも大変なんだ!!」

 それを聞いてマルフォイは少し考えてから訊いた。

「また、靴下を左右別種類のを履いてしまった、てことか?」

 そう言うと、遊戯と唯は靴下に視線を落した。

 なるほど、右に白いスクールソックス、左に赤いチェックの靴下を履いている。しかも穴が開いている。

 しかし、遊戯は、

「いや、うん、まあ確かにそうだけどそれじゃないんだ。もっと大変なんだ」

 と言う。

 マルフォイは取り敢えずどんな事が起きたのか、黙って聞いてみることにした。


 本日をもって「ヤマイダレ『端末世界』」のマルフォイ編(仮)は完結いたします。

 応援ありがとうございました。



 次回からは~

 マルフォイ→はりーシにバトンタッチ!!


 あとがき

 "魔鐘洞"について分らない方について簡単に言うと、お互いのフィールドを参照して、モンスターが多いプレイヤーのモンスター効果は永続的に無効になりゲームを停滞させるクソカードだよ。制限になって当然だね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る