第3話


 かけ直そうかとも思ったが、用件が「さっきの電話の意味はなんだ?」という事だ。


 兄さんもさすがに分かるとは思うが……そんな事を言えば、最悪の場合。笑われかねない。


 それは……嫌な話である。


「……ん? そういえば、あの夜。儀式をしようとした時の話も一緒にした方がいい?」


 確か、兄さんはそう言っていた。


「それが……一体なんだっていうんだ?」


 あの空と初めて出会った夜は、確か『スーパームーン』と呼ばれる日だったはずだ。


 そういえば、刹那は『中秋の名月』とも言っていた。


 つまり『あの夜』に儀式をしようとした理由には『月』が大きく関係している……という事になるのだろう。


「しかし、なぜ『月』が?」


 あの『カード』は基本的に『星座』が書かれている。それなら『星座』が関係している方が、まだ分かるのだが……。


「……」


 色々な予想は出来そうだが、俺が下手に考えるよりも、刹那に聞いた方が早そうだ。


 仕方なく、俺はその日。


 刹那に「明日、聞きたいことがある」とだけ連絡を入れ、そのまま寝ることにした。最初は兄さんと同じように電話にしようか……とも思ったが、どのみち学校で会う。


 しかも、時間も結構遅い。それなら、学校で聞いた方が、良いだろうと判断した結果だった。


■  ■  ■  ■  ■


「……で、俺に聞きたいことって……何?」

「お昼に入っていきなりか」


 ――昼休み。


 本当であれば、朝すぐにでも話をしたかったが、何を隠そう今日は『月曜日』である。


 この学校では、月曜日の朝は全校朝礼を行っていて、話す時間がなかった。


 他の休み時間に話をしても良かったのだが、内容が内容だったから、時間が取れそうなタイミングした結果……昼休みになってしまった。


「いやだって、あんな連絡もらったら気にもなるよ。まさか好きな人が出来たとか、そういった相談じゃないか……とかさ」

「……今のこの状況で、それはないだろ」


 呆れたように言う俺に、黙々と弁当を食べている龍紀は無言で頷き同意した。


「えぇ、龍紀も?」


 生徒会長である龍紀が、ここにいるのも珍しい話だが、今年から生徒会は昼に集まるのを止めたらしい。


 何でも『もっとクラスメイトと仲良くした方が、色々な意見を聞くキッカケになるのではないだろうか』という、考えに至ったから……のようだ。


「まぁ、冗談は置いといて」


 刹那は何かを横に置くようなジェスチャーをした。ただ、俺としては「冗談なら最初から言うな」と言いたい気分にかられる。


 まぁ、これも刹那なりの気遣いなのだろうが……。


「……で、本当に用件は何?」

「ああ、実は休みの間に兄さんから連絡があってな。空の居場所を突き止めたらしい」


 俺は、刹那と龍紀。二人から急かされ、ようやく兄さんからの電話の内容を二人に伝えたのだった。

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