第2話
多分、兄さんと刹那が二人で話をすればすぐに意気投合するだろうとは思う。どうにもこの二人は思考回路が似ている様だ。
ただ、それは色々な話が終わった後になりそうだが……。
「それで、仮に俺が行きたいと言って、兄さんたちは付いて来ませんよね?」
『まだ仮なんだね。まぁ、うん。僕は僕であのオッサン軍団に言いたい事があるからね』
どうやら兄さんは兄さんで別行動をとるようだ。その方が効率的なのだろう。
『でも、瞬としても自分から会いに行った方がいいと思うけど?』
「それは……なぜでしょう」
『分かっているくせに。今、彼女の手元に瞬が持っているカード以外全て揃っていたらどうするか……考えるまでもなく分かるだろ?』
「…………」
確かに、兄さんの言っている通りであれば、ほぼ確実に空はカードを奪いに来るだろう。
『まぁ、待っていれば確実に来るだろうけど、ただそのタイミングはあっちが決める。こちらの事なんて考えないだろうね。いつもの事だけど』
そう言った兄さんの言葉の端には『ため息』が聞こえてきそうだ。
しかし、兄さんの言う通りである。むしろ、それがあの家の人たちの特徴とも言える。
「……つまり、俺から行けば最悪他の人たちを巻き込まずに済むと」
『まぁ、初めて行く場所だから、何がどこにある……とか建物内の構造とかそう言った部分に不安は残るけどね』
ただ『いつ襲ってくるか分からない』という状況は避けられそうだ。
俺一人だけならまだしも、刹那や龍紀……最悪学校で……なんてなれば、どれだけ被害が出るか分かったモノじゃない。
『以前の彼女なら多分、そう言った他の人を巻き込みかねない方法は避けると思うけど、焦っている今なら……』
「やりかねない……と」
『もしくは毒されてるかも知らないね。こればっかりは憶測だけど』
「……なるほど」
確かに、あの家には色々な『普通ではない人』がいるらしい。
だから、一人くらいそういった事に特化している人間がいても何ら不思議ではない。
「……分かりました。では、俺は空の方に行きます」
『うんうん。納得してくれてよかった、じゃあまた連絡するよ』
「はい……って、え? 明日じゃないんですか?」
話の流れから、下手をすると『今日の深夜』と言うくらいだと、勝手に思っていた。
『ううん、今日はその見つかったっていう話だけ。詳細はまた後日……だけど、その理由。多分、瞬の友達なら何となく分かるんじゃない?』
「……はっ? なんで」
いきなり出てきた『友人』の言葉に、俺は思わず反応した。
『そもそも儀式をしようとした時の話も一緒にすると、勘づくと思うよ?』
「いや、だからそれがなん……チッ」
俺が尋ね返そうとした時には、兄さんはすでに電話を切ってしまった後だった。
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