第4話
「それで……この紙を渡すように言われたのか」
「うん」
空は瞬と刹那、龍紀とホテルで会い、その紙を渡した。
「……」
「それにしても、修学旅行の宿泊先に部外者がいるっていうのも……」
瞬たちはただ今『修学旅行』の真っ只中だ。
「そう?」
「まぁ、学校の関係者以外の人がホテルにいてもおかしな話じゃないだろ」
確かに『学校』という時点で大所帯ではある。が、もちろん他にも宿泊客はいる。だから……という訳ではないが、しおりなどからどこに泊まるかくらいは分かる。
「とりあえず……」
「ああ、そうだな」
空に渡された手紙をひとまず読んでいた俺と刹那だったが……。
「……!」
のぞき込むように見ていた刹那は目を丸くして驚いた。
「なぁ……ここって……」
「ああ……」
そこに書かれていた場所……それは、遠足で一時的に避難していた。『神社』だった――――。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……」
「……」
俺。刹那、龍紀、空の四人は伸びきった草木をかき分けながら『目的地』を目指していた。
「……」
実は空から『目的地』が書かれた紙を前日に渡されていたのだ。俺たちはその紙を手がかりに向かっていた……。
まぁ、そのおかげで『自由時間』はあってないようなものになってしまったが……。
本来、今日の予定は『自由行動』でそれぞれ自分たちが決めた場所を巡らなければならない……。
しかし、俺たちはその時間をかなり短縮し、その『チェックポイント』に着く時間だけを最初の時間に合わせて他の移動時間などをかなり割いた上でここを訪れた。
着く時間は紙の裏に書かれていた連絡先に前もって連絡を入れ、空は自分で先にここの近くを訪れ、俺たちと合流した。
俺は人知れずそう意気込みながらあの時、実苑さんと聡さんに出会った場所『神社』へと向かっていた……
「ん?」
その時『ある人』が俺たちの前に現れた――。
「あっ……」
「……理苑」
「……」
「……」
たった今『理苑』と呼ばれた人物は小学生の頃に刹那をイジメていた集団のリーダー格の人間で、実はこれから会いに行く『折里実苑』さんの弟だ。
「……久しぶり」
今ではすっかり大人になった理苑は俺たちに気づくと声をかけた。
「……」
ただ、小学生の時も感じていたが……。
「……」
「……」
俺たちの目線は完全に上を向いていた。
「……」
俺たちが初めて会った小学生の頃から理苑の身長は高かった。
そして、その身長はあの頃から当然の様に伸びていた。もちろん、俺も刹那も身長は伸びていたが、理苑はそれ以上に伸びていたよう織田。
「早速で悪いけど、兄さんが案内するように言われているから……」
そして……相変わらずかなり口下手なようだ……と俺は内心で思っていたが、刹那に言わせると俺もそこまで口が上手い訳ではないらしい。
「……」
それにしても……本当に懐かしい。
「……」
どうやらそれは刹那も感じていたらしく、理苑の顔を見ると刹那は少し嬉しそうに口元だけ笑っていた。
「じゃあ……」
「ああ……。助かる」
理苑は挨拶もそこそこに俺達を『神社』へと案内してくれた。
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