第7話


 それにしても……。


 俺は実苑さんと聡さんを見ると……なんとなく……どことなくこのお二人が瞬と刹那を連想させる。


「……」


 それは空も感じていた様だった。


「ん? どうした? 二人とも……。はっ! もしかして俺がイケメン過ぎて見とれて」


「…………」

「…………」

「はぁ……」


 俺たちの無言に何を勘違いしたのか実苑さんは嬉しそうに胸を張っている。


「そんなぁ照れるなぁ!」

「十歳くらい離れているのに……なんでお前はそんなにバカなんだろうな?」


「なっ! バカとは失礼な! せめて『アホ』と呼べ!」

「そういう問題か?」


 確かに関西と関東では『バカ』と『アホ』の印象の違いがあるらしい……とどこかの本で読んだことはあった。


 しかし、言っているのはとどのつまり悪口の一種だ……けれども……どっちも同じな気がする。


「まぁ、この『アホ』は放っておくとして……。とりあえず、今はこの結界から出ることが先決だな」

「そっ、そうですね。でも、俺自身こういったことに巻き込まれるのが初めてで……」


「なるほど。今回が初めてってことは、そこのお嬢さんが『見せる力』が強いってことか」

「見せる……力? ですか?」


 そんな話は瞬から聞いたことがない。


 しかし、あの二人がいるから関心を持ったから……というだけであって元々そういったことに興味も無ければ関心も無い。


 でも、つい最近そういったことを知らないと瞬と刹那の会話についていけないかも知らない……と感じてからは少し気にしている。


 ――とは言え、全てを知っている訳ではない。


 ただやはり『見えている人間』と『見えていない人間』とでは実際に目にしているのといないとの差はやはりどうしても出てしまうものである。


 だから正直「全部が分かる!」とは言い難い。それがまぁ、それが俺の『焦り』につながっていたりするのだが……。


「実は幽霊の類を『見せる力』と『見る力』の二種類がある」

「……」


「今まで出会ったことのある奴らでは……俺たちが高校時代に会った『見る力』のかなり強い奴と少し『見る力』のある二人以外にはいなかった」

「まぁ『見せる力』の強い奴は無意識ってことが多いからなぁ……。君たちが気づかないっていうのも仕方ない……って話だけど」


「……」

「……」


 つまり、空が『見せる力』が強すぎる為に無意識に『結界』の中に閉じ込めてしまった……要するに俺は巻き込まれた……という事だったらしい。


「あっ……あの」

「ん? どうした? お嬢ちゃん」


「おっ、お二人が昔会ったという『見る力』のある二人って」

「?」


「あの……。もしかして、宮ノ森刹那と天野瞬って名前じゃありませんでしたか?」


「!」

「!」


 空の一言に実苑さんと聡さんは驚いた表情で二人は顔を見合わせてから空を見た。


「君……この二人を知っている……?」

「ああ、二人をフルネームで言えるからな」

「……はい」


「ふーん。お嬢さんはこの二人と知り合いなのかぁ……」

「……」

「……」


「あっ! だから俺たちのこともフルネームで言えたのか!」

「今更か……」


「えっ! 分かっていたのか!? 聡!」

「はぁ、うるさい……」


「痛っ!」


 聡さんは実苑さんを華麗な回し蹴りを入れた。

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