第6話
「あっ……。すっ、すみません」
「別にいいけどっ!」
「別にいいならワザワザ噛みつくような言い方で言わなくていいだろ……」
ため息をつきながら長身の男性の後ろから落ち着いた雰囲気の男性が現れた。
「あっ……」
「どうした?」
「?」
「?」
俺だけでなく二人の男性も、不思議そうに空の方へと顔を向けていた。
「もしかして、お二人は折里実苑さんと黒見里聡さん……ですか?」
「おっ!俺を知っているってことは……」
「え?」
「違うから……」
分かった様に聡さんは実苑さんの言葉を遮った。
「ちょっ! まだ何も言ってないだろ!」
「お前が言いたいことなんてすぐ分かる……」
さらにうんざりした様に聡さんはため息をついた。
「なんだよ……。はっ! ………聡、お前まさか……俺のことが……」
「それは間違っても絶対違うから……」
「えーっ! のってくれよぉ……」
「……はぁ」
実苑さんはガックリと肩を落としていたが、聡さんは無視して俺たちの方をチラッと見ている。
「……えーっと?」
「気にしなくていいよ。いつものことだから」
「そう……ですか?」
俺たちは状況がよく分からず、チラッと実苑さんを見ていたが、党の実苑さんは聡さんの反応が気に入らなかったのか、若干拗ねている様だ。
「まぁ、拗ねている奴は放っておくとして……」
「……」
「……」
「今の状況を簡単に説明するが……。実は、君達は今『結界』の中に閉じ込められている」
「えっ」
「……」
そう言って聡さんは実苑さんをチラッと見て何かしら合図を送っていた。
「はぁ……」
そして、それに答えるように実苑さんは
「まぁ、突然言われても分からねぇと思うけどな」
「はい……。突然言われても正直……」
「…………えと『結界』ですか?」
あまりに唐突過ぎる……というか、思ってもいなかった『言葉』に俺と空は顔を見合わせ……。
「……」
「……」
困惑しながらすぐに聡さんと実苑さんに視線を戻した。
「まぁ……。基本的に普通の人間が『結界』の中にいても実は問題はない」
何やら深刻そうな表情で言っている聡さんに対し……。
「でぇもっ!」
なぜか実苑さんはニヤリと擬音が付きそうな表情で俺と空の方を見ている。
「ごく稀に……君らの様にに閉じ込められる人間がいるんだよなぁ」
「稀…………ですか」
「……」
瞬にしても刹那にしても二人は昔からそういった『類い』のことには慣れがあったのだろう。
「あっ、あれれ。もしかして二人とも真面目さん?」
実苑さんは俺たちの反応が意外だったのか、少し面食らった様だ。
「……」
「……」
しかし、瞬や刹那は鳴れていても俺はそういった類いのことには耐久はない。つまり初めての体験だ。
だから、俺たちが無言のまま考え込むのは……決して俺たちが『真面目』という訳ではなく……ごくごく自然な行動だと……今となっては思う。
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