第2章 カシオペア座
第1話
「……」
そんなこんなで俺は、黒髪の表情だけじゃなく言葉も
結果として、かなり自業自得な話ではあるが、俺は少女の『カード』を探す手伝いをしなければならなくなった。
――――現在、少女の手元に戻っているのは『牡羊座』のカード一枚のみ。
そしてカードを見て分かった事が、どうやらそのカードには全て『星座』をモチーフに描かれているらしい。
当初俺は雑誌の『星占い』で見る十二星座の十二枚で済むと思ってかなり楽観的に見ていたのだが……。
このカードはなぜか四十八枚も必要らしいのだ。
今の状況から考えると、残りの枚数を揃えるのはかなり気が遠くなってしまうのが分かる。
「はぁ。一日に一枚……いや、もし一週間に一枚だったらとして……」
どう考えてもため息をつかざる負えない状況に、自業自得と分かっていながら、悲しい気持ちになってしまった。
「うーん? なぁにため息ついているんだ? 瞬」
「…………」
そんな状況の俺に声をかける人はいなかったが、こいつの場合はそんな事はお構いなしだ。
「あー、昨日母親の監視下で絶賛勉強して今日追試だった宮ノ
「ちょっ! なんか俺の扱い酷くないっ!?」
「いや……。全く? どう考えても普通だろ」
「いやいやいやっ! 普通じゃないって! 明らかに俺に対して毒はいたよねっ!?」
このやたらテンションが高く、深刻な俺の表情を無視して声をかけたのが俺の友人……もとい『腐れ縁』の悪友である宮ノ
小学校からの付き合いで中学校、そしてなぜか、高校まで一緒になってしまった……という人間でいわゆる『愛すべきおバカ』な人間である。
正直、高校は分かれると思った……が、残念ながら分かれることもなく、ものの見事に一緒な学校に入学した。
でも、ぶっちゃけ刹那の入試の成績がギリギリだった……のはいうまでもない事実である。
本当に……こいつの学力だと絶対入れないと思っていた。
だが、本人曰く「ちょうどヤマ勘を張っていたいたところが出た」らしいが、それだけで高校入試をパス出来るとはとても思えない。
しかし、こいつなりに勉強を頑張ったのだろう……と一応頑張りは認めている。
だが、今の状況に陥る元凶になった『あの場所』を教え、写真を撮る様に頼んだのも、この刹那だったのだ。
そもそも、この彼が、先ほども言ったようにたった今まで追試を受けていなければ……。と言いたい気持ちにもなるが、あの行動は自分に非があるため、責める事も出来ない。
今俺たちがいるのは学校で、しかも放課後のほとんどの生徒が部活動や帰宅して
「……で?」
「うん?」
「いや、だからどうだったんだ?」
「えーっと」
「すぐに結果が出るんだろ?」
刹那に視線を向けて言ったものの「お前しか受けてないんだから……」というそんな人の心を折るような……悪魔の言葉は名誉の為に飲み込んだ。
「ふっふっふ……」
「なんだ。不気味だな」
「
「
「でも、まぁこれを見ろっ!」
「……」
そう言って刹那は、おもむろに俺の前にテストを広げて見せた。
「すごいだろ! この見事な赤点回避っ!」
確かにテストの答案用紙は刹那の言う通り。ものの見事に赤点を回避してはいる。うん、回避はしているのだが……。
「まぁ……。確かにすごいな……」
ただ、昨日勉強して赤点ギリギリ回避……というのもどうかと思う。
俺の記憶が正しければ、このテストは前もって『プリント』が渡されており、今回のテストは、その『プリント』の中から全く同じ問題が出題される形だったはずだ。
つまり、昨日の時点でキチンと勉強をしていれば、先生がよほど悪魔でない限り『赤点』を取る……なんて事にはならないと思う。
「だよな! 頑張ったよな、俺っ!」
「…………」。
それなのに、なんでこいつは……こんなに自信満々な顔をしているのだろうか……正直、全く理解が出来ない。
「でも、本当に……ん?」
「なんだ。どうした?」
そんな事を考えていると、突然刹那は机に置いてある『あるモノ』に気づいた。
「その本は……何?」
「あっ、ああ。コレは……」
俺は刹那の言葉に素っ気なく答えたが、実は心の中で舌打ちをし、本を片付けなかったことを後悔した。
でも、本を置いていることぐらい本来はどうってことない。ただ、こいつに『気づかれた』ってことに問題があるのだ。
確かに誰だって本を借りたり購入したりし、それを学校に持ってくれば自分の机に本を置いたままにする事ぐらいあるだろう。だから、ほとんどは何事もなくサラッと流すはずだ。
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