第5話 最終回「執筆から発売まで」
■ 執筆
新潮文庫nexから出た、拙作『レトロゲームファクトリー』が誕生するまでの話を書く連載、5回目です。徐々に掲載間隔が長くなっています。色々とやっているせいで、遅くなっています。今回で最終回です。
この原稿で、少しでも興味を持って、『レトロゲームファクトリー』を購入してくれる方がいればいいなと思い、続きを書きます。
前回から、だいぶ時間も空きましたので、時系列の一覧です。
* 2016年08月27日。文藝春秋から『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』でデビュー。
* 2016年09月29日。新潮社の編集の方からアクセス。
* 2016年11月02日。新潮社の方と初打ち合わせ。★事実上の開始。
* 2016年11月03日。企画書を6本送付。
* 2016年12月19日。2回目の打ち合わせ。
* 2016年12月27日。新しいプロットを送付。
* 2017年03月07日。3回目の打ち合わせ。
* 2017年04月20日。執筆決定。←今ここ!!
* これから書く予定。
* 2018年10月27日。新潮文庫nexから『レトロゲームファクトリー』が発売。
最初のアクセスから、本が出るまで2年強掛かっています。なかなか大変です。
さて、2017年4月20日に執筆が決定しました。書くと決まったら、まずは詳細プロットやキャラクター設定の作成です。この作業に約1ヶ月ほど費やし、5月16日から本文の執筆を開始しました。
最初のバージョンが完成したのは5月28日。執筆期間は12日です。原稿サイズが203KBだったので、1日あたり17KB(8704文字)ずつという計算になります。実際には、日によって粗密あります。調子がよい時は30~40KB(1.5~2万字)ぐらい書きますので。
私の場合、書いて終わりではなく、そこからが本番です。全体の原稿を、映画のラッシュフィルムと見なして、どんどん書き換えていきます。
最終的な決定稿は294KBなので、第1稿から91KB増えています。だいたい1.5倍。第1稿は、本当にラッシュフィルムレベルの原稿です。
この最初の原稿ができてから推敲を重ねて、信頼できる身内の人に最初に見てもらったのが7月16日。第1稿から1ヶ月半強かかっています。執筆開始からは2ヶ月。これぐらいになると、他人に読んでもらっても大丈夫なレベルに仕上がっています。
この最初のチェックの時には第7稿になっています。ファイルサイズも272KBに膨れ上がっています。このチェックで、いくつか問題点を指摘してもらい、その全ての問題解決をして原稿に反映しました。
次に8月30日に、さらに人を増やして査読の依頼をしました。この時の原稿は第11稿。294KB。最終的な決定稿と同じサイズになっています。ここで複数からのフィードバックを受けて、何パターンか原稿を作成して、どれがよいかを検討しました。
こうした作業の間、担当編集には月一の頻度で進捗の報告を実施。9月13日に原稿を担当宛てに送付しました。この時は第14稿になっていました。
■ 執筆後の打ち合わせ
9月13日に原稿を担当宛てに送付して、感想が届いたのが9月29日。約2週間強です。「大変面白い」という感想で、ほっとしました。
そして次の打ち合わせが10月30日に決定。けっこう時間が空きます。この打ち合わせまでの間に推敲を重ね、打ち合わせの時点では第20稿になっていました。
さて、執筆後の打ち合わせですが、最も印象的だったのは、編集長が満面の笑みだったことです。前回の強いアウェイ感とは打って変わって、非常にフレンドリーです。その瞬間、「ああ、いい作品が書けたんだな」と思いました。胸をなで下ろした瞬間です。
打ち合わせは、細部の修正点の確認とともに、主に広報関係になりました。
雑誌『yomyom』での連載や、ゲーム特集回の実施、「cakes」での連載など、使えるカードを上手く使って、露出を増やす話が続きます。売るためにどうすればよいかということを本気で考えてくれて、ありがたいと思いました。
11月28日に、修正を反映した原稿を送付。第22稿です。この原稿を元に「yomyom」掲載版や「cakes」掲載版は進みました。
『yomyom』は2ヶ月に1度出るペースです。1月19日発売の『yom yom vol.48 2018年2月号』、3月16日発売の『yom yom vol.49 2018年4月号』、5月18日に発売の『yom yom vol.50 2018年6月号』に掲載されました。
2018年4月9日には、米光一成さんとの対談をセットしてくれました。高校時代、アホほど「ぷよぷよ」をやっていた人間なので、嬉しかったです。
「cakes」は後追いで2018年4月16日から毎週連載で掲載開始。2019年1月11日まで連載が続きました。
■ 本の作成
2018年8月になり、本の話が進み始めました。今回の本の装画は、編集部から新井陽次郎さんはどうだろうかと提案がありました。編集部から打診したところ、引き受けてもらえることになり、ラフの確認を経て、最終的に1ヶ月ほどで装画が完成しました。
初校ゲラは8月23日に到着して、9月1日に戻しました。再校は、9月22日着で27日までに戻しというスケジュールです(実際には25日に戻しました)。だいたい「届いて1週間ほどで戻し」という感じです。
全ての作業が終わったあと、最終的な原稿は、第32稿になりました。細かな変更が入っているマイナーバージョンの連番数は504。504種類の『レトロゲームファクトリー』が手元にはあります。
そして、2018年10月末に発売になりました。
ちょうど、この10月に『技術書典4』があったので、編集部に無理を言って表紙のデータを早めにもらい、宣伝を載せたペーパーを400枚ほど配布しました。少しでも認知度を上げたかったので。
10月25日には見本が手元に届き、よい本ができたなあと思いました。少しでも多く売りたいと思い、個人で色々と広報活動を続けています。
『レトロゲームファクトリー』はよい小説だと思うので、少しでも多くの人に手に取ってもらい、読んでもらいたいです。未読の方は、是非読んで下さいね。よろしくお願いします。
(終わり)
レトロゲームファクトリー
https://amzn.to/2T4frqR
『レトロゲームファクトリー』物語 雲居 残月 @kumoi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます