人間の社会から排除され、山の上にある学校に集められた吸血鬼たちの、穏やかだけどどこか奇妙な日常を描く、ファンタジー+ホラー+ミステリーでした。
とても丁寧な描写で描かれ続ける不気味な雰囲気のおかげで、最後まで読む手が止まりませんでした。また、さまざまな引用が重ねられており、作者さんの教養の深さを感じました。
特に、主人公が図書館で『小早川家の秋』を視聴していたシーンが一番私の印象に残りました。記憶と記録と死というこの作品の根幹が顕になっていたと思います。このシーンがラストバトルへとつながっていったところは鳥肌が立ちました。カラスだけに鳥肌とはこれいかに。
(自主企画『学園&青春ミステリー』にご参加頂いたものです。ご参加、ありがとうございました。)