第84話 女神さまの願い? (12)
と、いう訳にはいかないよね。
アテナの奴は、うちが魔力を増幅させているのを見抜いていたようだから。
アイツの持つ、全方向──。敵の複数攻撃だろうと安易に防ぐことが可能なイージスの盾を召喚して防ぎやがった。
でッ、防ぎきると、イージスの盾から顔を出し、自身の唇の端をつり上げ『ニヤリ』と、苦笑をする。
と、なると今度は、うちがピンチ!
取り敢えずアテナのイージスの盾と迄はいかないが。防御壁魔法を張るしか、手立てがない。
さてさて、アテナの強力な攻撃に、うちの張る魔法防御壁は持つだろうか? と、思案をしながら。
(ディフェンス!)と、自身の心の中で呟き、詠唱を始める。
「あああ~、始まった~。二人の争いが?」
うちが詠唱を唱えていると、ツレのイシュタルの奴がこんな言葉を漏らした。
するとイシュタルの言葉に続くように、うちのひとからも言葉が。
「はぁ~? どういうことだ~?」
まあ、こんな感じの驚嘆なのだが。
それを聞きイシュタルの奴が。
「どうもこうも~って、和のことで二人が争っているんだろうに。和~! あんた~。傍から見ていて気がつかないの~?」
相変わらず傍から見ても、可笑しな言葉を漏らす家のひとにイシュタルの奴が。『和のことを二人は、ムキになって奪いあっている』みたいな台詞をうちのひとへと告げるのだが。
うちとアテナは、そんなことで言い争いをしていない……。
と、いうことはないか。
うちも最初は、そんなにムキになってはいなかったけれど。余りにもアテナの奴が家のひとを甘やかすからムキになっただけ……。
このままだとうちの想い描く未来像が、みんな音を立て崩れ落ちそうだから。
特に家のひとの過去を見ていたうちが言うのも何だが……。
家のひとは本当にいい加減だからね。ちゃんとした好青年……。昭和の時代に流行った。
『医者、弁護士、ヤンエグ』にして、うちの乙女を奪った責任をとってもらわないといけないのだ。
それに、家のひとには、自分自身が、気がついていない素質と可能性も多々あるのだよ。
でもアテナの甘やかす様子を見れば、家のひとをタイムリープさせてやり直しを始めても一緒……。
だからうちのひとに首輪をはめて手綱をちゃんと引っ張りながらやり直しをしないとまた人生が失敗すると、何でアテナの奴はわからないのだ? と、うちはアイツに言いたくなるのだが。
もうこれだけ憤怒して我を忘れているアテナに何を言っても無駄だろうから力で、でと、うちも思ったのだが。
この調子だとうちの命の方が風前の灯火と言った感じだね。
だから先程からどうするかな? と、思っているうち……。
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