第77話 女神さまの願い? (5)

 う~ん、何故か? 不機嫌な御様子のアテナ……。


 うちのことを睨みつけながらこんな言葉を荒々しい口調で告げてくるのだよ。


 それもさ、うちに抱きついたままでいる、この爺のことを我が君と呼んでいるのが摩訶不思議でならない。


 と、いうよりも? アテナの産まれたままの姿を見れば一目瞭然──。


 うちに自分の物だと思っている変態爺が。うちのことを名指しで呼びながら甘えてくるから、彼女は嫉妬心を募らせているに違いないと思うから?


 ここは女神の友情という奴で。


「この変態爺がいるの、アテナ?」


 と、訊ねてみた。


「ん? えっ? あああ~。い、いる~。ください~」


 まあ、何とも素直というか? 初心というか?


 アテナは自身の頬を桜色に染めながら、うちが和のことを『返そうか?』と、告げれば。返してくださいと素直に答えてきたのだが。アテナの頭鎧を被っている勇ましい姿に裸体……照れている彼女の容姿を見れば何とも不釣り合いというか?


 全くうちは似合わないと思ったが。


 まあ、取り敢えずアテナに「ほい~!」と、言葉を漏らしながら和を手渡した。


 するとアテナは慌てて数を抱き締め、愛おしそうに撫で始めたのだよ。


 そんな彼女の姿を凝視しながら、『そんなにも、そのおじさんがいいかな?』と、思いながら。うちは何かしら、忘れていることがあった気がすると思いながら?


 自身の腕を組み思案を始める。


 すると「おはよう~」と、また声がするから。うちは思案をするのをやめて声の主へと視線を変えると。声の主は、うちのツレの一人であるイシュタルだった。


 でッ、起きたばかりのイシュタルなのだが、うちと目が合うといきなり「アッ、ハッ、ハハハ~」と、自身の口を大きく開けて笑い始めたのだよ。



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